村上春樹新刊『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、多崎つくるが繰り返し聞くフランツ・リストの名作「巡礼の年」。“現存のピアニストでリストを正しく美しく弾ける人はそれほど多くいません。僕の個人的な意見では、比較的新しいところではこのベルマン、古いところではクラウディオ・アウラぐらいかな”

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村上春樹の新刊『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』、五十万部すごいなーって言ってたら、初日に10万部増刷決定。はやくも計60万部。
「最速レビュー。村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に驚いた」も、たくさんの人に読んでもらった、感謝。

“静かな哀切に満ちた音楽だ。冒頭に単音で弾かれるゆっくりとした印象的なテーマ。その穏やかな変奏。つくるは読んでいた本のページから目を上げ、これは何という曲なのかと灰田に尋ねた”。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』で、キーとなるのが、フランツ・リストの『巡礼の年』。

『1Q84』のときは、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が約2万枚のセールスを記録した(クラシックで、しかもヤナーチェクが2万枚!)。小説「1Q84」に出てくるクラシック楽曲をほぼ網羅した『ヤナーチェク:シンフォニエッタ~小説に出てくるクラシック~』なんてCDも出た。
今回は、リストの「巡礼の年」か!?
実際に問い合わせが殺到し、ユニバーサルミュージックはリスト「巡礼の年」のCDを急遽再販売決定したそうだ。
作中で主人公が何度も聞くラザール・ベルマン演奏の「巡礼の年」は、5月15日再販予定。
うむむ。5月15日まで待たないと聴けないのか?
そんなことはない。
Amazonの「MP3 ダウンロード」を使えば、ベルマン演奏の『リスト:《巡礼の年》全曲』がいますぐ聴ける。
「Cloud player」を使えば、楽曲をダウンロードする必要もない(この原稿も聞きながら書いてます)。便利な世界になったものだ。(米光一成)