そのとき日本サポーターの中央で歓喜するヨルダンサポーターの姿が!

みんなハッピー。最高の結末。残っていたドラマ。ワールドカップアジア最終予選・ヨルダン戦で日本代表はよもやの敗戦を喫し、引き分け以上で決定だったワールドカップ行きを逃しました。直前に行なわれたグループ内の別の試合結果により「勝てば突破」から「引き分けでも突破」へと条件が緩くなった中での奇跡の粘り。まさに願ったり叶ったりです!

予選はかねがね「突破することこそすべて」と言っておりますが、それは勝っても負けても変わりません。最終的に全日程を終えたところで突破を決めていればそれでいいのです。何故世界最速で決める必要があるのか。それは2006年大会の予選でやりました。そして、別に大して面白い事件でもありませんでした。やはりここは基本に立ち返って「ギリギリまで死闘を演じ、ドラマの果てに突破する」を目指したいもの。

圧勝することだけが楽しみですか?

4年に一度しかないワールドカップアジア最終予選で2試合も消化試合を作って誰か幸せになるのでしょうか。成り行き上、消化試合が生まれることもあるでしょう。ワザと負けてまで引き延ばすのは本末転倒ですが、ヨルダン戦の負けで結果的に「最終予選」が生き延びたのです。少なくともあと1試合、結果のみを求める緊迫の戦いが見られるのです。しかもそれはホームでの試合。ホームの大サポーターとともにワールドカップ出場の瞬間を迎えるチャンスが生まれたのです。何ら悪い話ではありません。

そして、これでアジア最終予選グループBは大混戦となりました。勝点差2に4チームがひしめき、試合数の関係もあって2位と3位がどこになるかはまったく予想もつきません。日本のひとつの負けが、次戦ホームでの歓喜の宴を生み、最終節でのドラマを生むとしたら最高じゃないですか。課題も反省も不安も戦犯も何もありません。極端な話、残り全部負けたって予選突破が決まるほどのリードがあるのです。負けて得られた「ピリピリ感」こそがこの試合の成果。最終予選がますます盛り上がるいい試合でした。もしどうしても連戦連勝でないと喜びを見い出せない人がいるなら、右手と左手でジャンケンでもしてはどうでしょうか。

ということで、内田篤人さん25歳の誕生日を祝いつつ、26日のテレビ朝日中継による「ワールドカップアジア最終予選 日本VSヨルダン戦」をチェックしていきましょう。

◆ハッピバースデーウッチー!ハッピバースデーDear内田さーん!!

「ここで決める」という強い意志。引き分けでも予選突破が決まるという絶対的な有利さ。本田△・長友不在の状況もさして気になりません。相手は前回のホーム戦で6-0と一蹴したヨルダン。一部の選手が欠けたらどうこうということもないでしょう。選手たちも自信と決意を胸にこの一戦に臨みます。

↓日本のエース・香川ユナイテッドも「この試合で決める」と宣言!


ありがたいな!

こういう気持ちで臨んでくれるなんて!

↓日本のカエルも間違ってこの試合に到着!


スタジアムに入れるなよwwwwww

干からびるぞwww中味がwww

蒸れる前にアタマをもいであげて!

しかし、この一戦にかけているのはヨルダンの男たちとて同じこと。日本というアジアの巨人を迎え、勝たねばならぬというプレッシャーの中でホームのピッチに立つ。今予選最大の一戦。かつて日本が挑戦者だったとき、やはりこうした試合がありました。それは歓喜であれ落胆であれ、歴史と記憶に残る試合だったもの。そんな歴史の一部たるにふさわしい意志・決意・集中力。今夜のヨルダン代表にはそれがありました。

ヨルダン国歌の大合唱とスタンドを埋めるサポーターの大声援の中で迎えたキックオフ。日本はおなじみの4-2-3-1の布陣。トップ下には香川ユナイテッドが入る形で落ち着きました。一方ヨルダン代表の布陣は、右サイドバックにFW登録の選手が入る形。カモフラージュかと思いきや、裏に抜けて行く選手にまるでつかないなど、本当に不慣れな様子。「アカン簡単に勝ってしまう…」と僕は早くも頭を抱えます。

前半2分に岡崎がオープニングシュートを放つと、前半4分にはエリア内で清武→香川とつないで決定機を演出。前半14分には清武のクロスに前田がヘッドで合わせますが、ここは相手GKに防がれ無得点。さらに前半20分には清武がエリア内に侵入しシュート!…を撃てそうな場面で、撃たずにクロスを送る惜しい場面も。チャンスは作りますが、かろうじて得点には結びつきません。

↓ワールドカップ決定に備えて解説者を呼びすぎたため、放送席ではひとつのダメ出しが3倍の威力で吹き荒れる!
メイン解説・松木安太郎:「撃てるか…!?ん…あぁ…」

松木:「最初に清武に出たところでシュートに持ち込んでいいんじゃないかな?どうですか中山さん、見ていて」

ゲスト解説・中山雅史:「今僕見た印象ではワントラップしてシュート撃てたんじゃないかっていう」

松木:「ね?そのタイミングありましたよね」

中山:「そうですよね」

ピッチ解説者・名波浩:「松木さん、おっしゃる通りでピッチのことを考えたら、あそこワンバウンドさせずに…」

松木:「ですよね?」

中山:「ここですよ!今のところ!」

松木:「撃てるチャンスあったからねぇ。うーん」

松木:「中山さんがそういうなら間違いない」

説教、説教、アンド説教!

同じダメ出しを3人で同調しながらやるってうざすぎるwww

日本は前半23分にも長谷部のクロスに前田が合わせて決定的なシュートを放ちますが、後ろから飛んで来たボールに頭をひねって合わせながら、自分の背後に置いたゴールのクロスバーに当てるという芸当で、またも決められず。なるほど、前田デスゴール伝説とやらも「春先こんな感じで外しまくる前田に決められるほど緩いDFをしているチームは、そりゃ降格もするだろ」という意味で、納得できたような気がします。

その後試合は、中山さんが「岡崎にまだシュートがないですね!早く撃ちたいですね!」と完全にオープニングシュートのことを忘れた説教をするなど、日本が徐々に低調になっていきます。その流れはヨルダンが露骨に穴っぽかった右サイドバックを変えたところで一層明確に。日本の前線は「消えて、動いて、もらう」は得意な面々ですが、強引にズドンとやる人材が不足気味で、手をこまねいている感じが強まります。

↓スタンドから川島にレーザー攻撃が飛ぶなど、ヨルダン側が一気に攻勢を強める!


これ捕まえて秘密警察とかに突き出してやりたいな!

目に入ったら危ないだろ!

↓なんて思っていたら、今度は前半終了間際にボールが川島に向かって飛んで来た!


うぉぉぉぉぉぉぉぉ!まさかの失点!!

盛り上がってきた!!

0-1とリードを許して残念な形で終了した前半。しかし、ハーフタイム中の日本には嬉しい報せも届きます。何とこの試合中に午前0時を回り、内田篤人さんの25回目のバースデーがやって来たのです。バースデー活躍&バースデーW杯なら、明日は「内田決めたW杯」の新聞1面もあり得るのではないか。その期待に応えるように、後半頭から右サイドで積極的な攻撃を仕掛け、チャンスを演出するウッチー。全国のウッチーファンの女性と、一部の特殊なオッサンが盛り上がってきました!

↓しかし、そんなバースデー祝賀ムードに水を差す失点!想定外の0-2に!



何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

コリャ「吉田がファウルで止めると思って途中で足を止めた高徳」と「逆サイドからゴールマウスまで諦めずに追いかけた内田」の意識の差を見てニヤニヤしている場合じゃない!!

本格的に負けてしまう!!信じられない事態!!

どういうことか。まったくの想定外のビハインド。0-1でドキドキしながら最後は突破を決めるだろうと思っていた日本サイド関係者も、一気に動揺し始めます。この試合で決めようと意気込んでいた香川ユナイテッドは憮然とし、日本ベンチは慌ただしく交代選手を準備。松木解説者はものすごく焦った口調で「時間はたっぷりある!」と絶叫し、実況アナは「ここで負ければ日本はあっという間に追い詰められます!」と嘘危機感を煽ります!

しかし、日本もタダでは終わりません。後半24分、清武がはたいて裏に抜け出した香川がもらうという形で、追撃の香川弾。さらに直後の後半26分には大外からエリア内に走り込んだウッチーが足を引っ掛けられた風の動きでPK奪取。「内田バースデーPK弾!W杯決めた!」が現実味を帯びてきたのです。まさか主審も僕と同じ趣味の持ち主…いやそんなはずはないでしょうが、とにかくウッチーが日本のワールドカップ進出へ大きなチャンスを作ったのです!

↓しかし、ここで遠藤のPKは相手GKに防がれる!


あーーーーーーーーーー。

引き分ければOKの試合で、香川が点を決めて、遠藤にPKのチャンスがあっても負けるなら、もうしょうがない!

そんな日もあるでしょう!

どんどん少なくなる時間。スタジアムに時計がないので、チームスタッフが「42分」とか手書きで知らせないといけないという不便さ。松木さんの「時間はタップリある!」と繰り返す声が大きくなっていき、実況のアナは「万が一この試合敗れることがあると、グループBの混戦の中で、日本も苦しい状況に飲みこまれていく可能性があります!」と嘘危機感を煽りまくる。心だけがざわつき、有効な攻撃を繰り出せない日本。

↓そして迎えたアディショナルタイム!ついに松木解説者までも残り時間を気にし始めた!
実況:「アディショナルタイムは4分と場内表示されました!」

松木:「おーし!おしおし!4分ある!」

松木:「4分!」

松木:「1分ありゃ1点取れるからね!十分!」

<参考:2011年1月13日のアジアカップ日本VSシリア戦での松木解説者>

実況:「ロスタイムは6分です!ロスタイムは6分!」

実況:「ロスタイムの時間を聞いて、一気に盛り上がりました、シリアサポーター!」

松木:「ふざけたロスタイムですねぇ〜これねぇ〜!」

松木:「6分!?」

<参考:2011年1月21日のアジアカップ日本VSカタール戦での松木解説者>

実況:「ロスタイム4分!10人の日本が11人のカタール相手に勝ち越し!」

実況:「残りの時間はあと4分!」

実況:「今手元の時計、ロスタイム4分のうちほぼすべてを使い切りました…どうでしょう」

実況:「手元の時計はロスタイム4分を経過しています!」

(4分38秒経過)

松木:「よーし!もう終わっただろ!よーし勝った!よしっ!よしっ!よーしっ!よしっ!

THEご都合主義wwwwwwwwwwwwwwww

自分の都合だけでコメントしてて本当に清々しいwwwww

勝ってるときはちょっとでも長いと文句つけ、負けてるときは何分って言われても気にしないwww

結局日本は1-2で敗れ、ワールドカップ出場をこの試合で決定することはできませんでした。しかし、逆の立場で考えてみてください。ヨルダンにとっては、日本を迎えたホーム戦で、戦前の下馬評をひっくり返し、前半アディショナルタイムという最高の時間の先制点、後半日本DFをぶっちぎっての追加点、マンチェスター・ユナイテッドの背筋凍らせる反撃ゴール、PKを与える大ピンチ、守護神のファインセーブ、ロスタイム4分を凌いでの逃げ切り…これ以上ないほどのドラマをこの試合で体験したのです。

これは間違いなくヨルダンのサッカー史に残る一戦です。10年、20年と語り継がれる名場面です。そんな素晴らしい試合をヨルダンに残すことが出来たのです。日本側にはほとんど痛みがない状況で。僕らも日本代表の名場面をどれほど愛で、どれほど反芻してきたことでしょう。そういう宝物のような思い出をヨルダンは今夜作ったのです。こっちが負ければ相手が勝つ。こっちが悔しければ相手は嬉しい。勝負とは持ちつ持たれつ表裏一体のもの。

日本サポーター席の真ん中で喜びを爆発させるヨルダンサポーターの笑顔。カメラに向かってご立腹の演技をする中山雅史さんの後ろで、国旗を揺らしながらスキップするヨルダンのオッサンの笑顔。スタジオで半ギレの説教をするつもりが「ガムラシャにやれ」と新語を作ってしまったセルジオ越後さんの苦笑い。試合後にはたくさんの笑顔があふれていました。いつも自分たちだけ笑っていたいなんて、勝手な道理は通りません。少なくとも向こうにとってはイイ試合だった。それでいいと僕は思うのです…。

↓ということで、この試合は「おわり」です!


おわりwwwwwwwwwwwwww

文字通り「おわり」wwwwwwwwww

次戦、ホームの大観衆の前でワールドカップ行きを決めればOKです!