ベルリン映画祭が「ブルース・リーの師匠」を描いた映画で開幕!
現地時間7日、第63回ベルリン国際映画祭が開幕し、オープニング作品『ザ・グランドマスター(原題) / The Grandmaster』のウォン・カーウァイ監督、主演のトニー・レオン、共演のチャン・ツィイーらが会見した。本作は、ブルース・リーの師匠としても知られ、グランドマスターと呼ばれる中国拳法の達人イップ・マンを主人公とした物語。中国の1930年代から1950年代までがマンを軸に描かれる。
カーウァイ監督が本作の制作を決めたきっかけは、1999年にグランドマスターのドキュメンタリーを観たことだったという。「もう70代で弱っていて、パジャマを着て、孫に囲まれていてね。その映像に感動した。彼には雅量がある」とイップ・マンの人物像に惹(ひ)かれたと明かす。
それだけに、本作はマンの人間性に心打たれるものに。だが、もちろんカンフー・ファンにも見どころがいっぱいで、トニーとチャンが共に苦労したと語った戦いのシーンも、カーウァイ監督ならではの映像美で見せる。ほのかな恋心も描かれていて、カーウァイ監督のロマンチックな映画群が好きな人も裏切らない。今回、同映画祭の審査員長も務めるカーウァイ監督は、見事に映画祭の開幕を盛り上げたといえるだろう。
また、映画化にあたって3年かけて中国拳法の達人たちを取材したというカーウァイ監督。「彼らの節度に感銘を受けました。今でこそマーシャル・アーツはスポーツで、ヨガのように健康のためやる人もいますが、達人たちには武器なのです。達人たちが、皆、慎ましく、節度を保っているのは、武器を持つという自覚からなのです。この取材は本当に興味深く、もっと続けたいと思ったほどです」と心底、達人たちに魅了されたようだ。
カーウァイ監督は「わたしにとって初のカンフー映画といわれますが、それだけではありません。マーシャル・アーツに関わっていた人々には、惹(ひ)きつけるものがあります。この映画が、マーシャル・アーツ、カンフー、そして中国人の何たるかを語るものであればと願っています」と作品に込めた思いを述べた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
第63回ベルリン国際映画祭は17日まで開催予定