「学問のすすめ」で知られる福沢諭吉は、明治時代、商人に対して、

「商いは広告をすべき」

と説いていたのです。


慶應義塾大学の創設者、福沢諭吉は、教育者としての評価が高いですね。

彼は一方で、明治15年に

「時事新報」

という新聞も創刊しています。同紙は、政党色のない、独立不偏を編集方針としていました。

そして、福沢は、時事新報の紙面充実と部数拡大に力を入れつつ、

・広告の効果
・媒体としての新聞の価値

を繰り返し力説しました。


実際、彼は、

新聞広告を集めるための広告主向け広告

にも積極的で、

「日本一の時事新報に広告するものは、日本一の商売上手である」

と刷ったビラを風船で飛ばしたこともあったそうです。すると、とたんに広告申し込みが殺到したとか。


さて、彼は明治16年、時事新報の社説に

「商人に告るの文」

を書いています。

この社説で展開されているのは、

『商いは広告をすべき』

という彼なりの「広告論」でした。


この社説は結局のところ、

「新聞広告を出しましょう(出しなさい!)」

といういささか説教的な「自社広告」という側面があるのですが、彼の広告論はビジネスの本質を突いています。そこで、この社説から一部を紹介しましょう。

---------------------

1 商売繁盛は、「正直」「熟練」「廉価」で客に対応すべきである

2 それを知らせる工夫をしなければ商売繁盛はありえない

3 商いは「人に知られること」がもっとも大切である

4 人に知られる方法は、まず人通りの多いところに店を開くこと

5 店頭に看板を掲げ、店を飾り、人目につくよう品物を並べ、注意を喚起すべきである

6 人通りの多い場所にポスターを掲げ、さまざまのチラシを配布しなければならない

7 商いには「広告するに適当なチャンス」がある。その機会を見極めるのが肝要である

8 広告文は素人では書けない、有名な筆者に依頼すべきと信じている人が多いが、それはとんでもない間違いだ
 
続きはこちら