オスプレイ配備と大飯原発再稼働の笑えない共通点

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事故多発のオスプレイ配備に問題はないのか?


いつからか『朝まで生テレビ』で常連の論客となり、その後はニュースやワイドショーなどのコメンテーターとして起用されるようになった学者がいる。いわゆるタレント学者だと思っていたその人が、いきなり防衛大臣になってしまった。そう、森本敏氏である。



その森本防衛相が、ここ数日、多くのメディアに登場している。米軍がオスプレイを普天間基地に配備しようとしている問題で、配備に反対する自治体の首長を説得しに回っていたのである。



オスプレイとは、垂直離着陸輸送機MV22の愛称だ。「主翼両端に回転翼を持ち、その角度を変えて、ヘリコプターのように垂直離着陸し、水平飛行では固定翼機のように高速飛行できる。空中給油も可能なため航続距離が長く、輸送能力も高い」輸送機だと言う(毎日新聞、2012年6月30日付、社説より)。



ヘリと飛行機の「いいとこ取り」を実現したこの輸送機は、話だけ聞いていると高機能で有用なものに思える。だが、試作段階から含めると、8回もの事故を起こしている。「ヘリモードと固定翼モードの変換時には独特の機体操作が必要となり、事故を誘発しやすいとの指摘がある」(同、社説)と言うのだ。



7回目の事故は4月8日にモロッコで、8回目の事故は6月13日に米国フロリダ州で、それぞれ起きている。オスプレイの整備や試験飛行が予定されている山口県岩国市と、配備が予定されている沖縄県は、こうして事故が多発している現状を問題視している。特に、2004年に輸送ヘリ墜落事故を経験した沖縄は、米軍機の安全性に対して敏感にならざるをえない。


生気のない防衛相、説得行脚に疲れた?


案の定、米軍のオスプレイ配備の方針に理解を得ようと沖縄県と山口県を訪ねた森本防衛相は、両県知事と岩国市長から計画の撤回や見直しを求められた。テレビに映る森本氏は幽霊のように力が抜けており、『朝まで生テレビ』で生き生きと軍事情勢を分析していたころの面影はなくなっていた。タレント学者氏に防衛相の荷は重すぎたのか。



いずれにせよ、日米安保のしがらみから、日本の政府が米国の求めを簡単に拒否することはできない。そもそも、配備を拒否する権限が日本の政府にも自治体にもない。しかし、配備される場所が日本国内であり、オスプレイには安全性に疑問が残っている。よって、少なくともその安全性が完全に証明されるまでは、オスプレイが日本国内に配備されないよう、日本政府は米国に働きかけ続けるべきであろう。



このオスプレイの問題は、大飯原発の再稼働の問題と似ている。原発の場合、事故の調査が終わっておらず、安全性の確保が疑問視されながらも、政府の判断で強引に再稼働されることになった。大飯原発の再稼働のように、オスプレイもなし崩しで配備されてしまうのかもしれない。こんな体たらくの民主党政権に、その「終わり」が近づいていると感じているのは、筆者だけであろうか。





(谷川 茂)