[REUTERS/Nigel Roddis]

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 このところ審判に関する話題が喧しい。19日には、5月16日に行われたナビスコカップのC大阪対広島戦後に、広島の佐藤寿人が審判員への誹謗中傷に当たる発言をしたとして、けん責処分を科されたことが発表された。佐藤は試合中の判定に対し不満を述べ、辛辣な言葉で審判員のレベル向上を訴えたらしい。

 現在開催中のEURO2012では、地元ウクライナとイングランドの試合で、ゴールラインを割ったボールがノーゴールと判定され、物議をかもした。スローのリプレーで見れば、確かにボールはラインを超えていた。

 2006年W杯からはゴールライン付近にいる人間として、第5審判員を置いたが、それでもゴール判定を巡る誤審は減っていないから、効果は薄いということだろう。再び、ビデオ判定を導入するかどうかの議論が上がっている。


 個人的には導入してほしいという思いもあるが、物理的に不可能ではないか、と思ってしまう。サッカーは世界中で行われていて、そのすべての試合にビデオを導入するのは100%不可能である。ならばW杯やEUROなどのビッグトーナメントだけでも、とも思うけど、果たしてそれは公平だろうか。W杯予選すべての会場にビデオを置くのも現実的じゃないね。先進国は置けるだろうけど、そうじゃない国が参加しているところにもW杯の大きな意義がある。

 一方で、大会単位ではなく、各国協会、リーグの単位で導入することはぜひ検討すべきじゃないかな。Jリーグが各国リーグの先陣を切ってみるのもおもしろい。導入したことによって、進行や判定にどれほど影響が出るか、非常に興味深いね。

 ただし、1966年W杯のイングランド対ドイツの決勝が、ジェフ・ハーストの「疑惑のゴール」で語られたり、2010年W杯の同じカードでイングランドのゴールがノーゴールになったことで、伝説のお返しと言われたりと、審判員も含めてサッカーの魅力という一面も無視できない。

 あのとき、あの試合のあの判定が、と酒場で話すのも、サッカーの一興なんじゃないかな。ノーゴールにされた方はたまったもんじゃないと思うけれど。