研修で学んだ受講者にとっての最大の難関は、学んだ内容と異なることが行われている現場であり、学んだことを実践させない上司である。

「おあいそ」は、もともと飲食店で使われる隠語で、勘定の際に「愛想なしで(行き届かなくて)申し訳ありませんでした」と表現するようにしていたところから来ている。お客様からお金をいただき、お見送りする際のビジネスマナーと言ってよい。

しかしこれを客の方から言ってしまうと、「愛想を尽かしたから、もう精算してくれ」「カネを払うから、愛想をせい」といった意味になってしまう。だから、大きな声で「おあいそ!」と言うオジサンと、「〆て」「会計して」「チェックして」「勘定して」「いくら?」などとスッと言うオジサンでは、何かレベルの違いを感じざるをえない。

もちろん、言葉には移り変わりがあり、「おあいそ」も今や単に「計算して」という意味合いになっているのだから、そんな小さなことに目くじら立てるのはオカシイという考え方も分かる。しかしビジネスでは、違和感を覚える人がいるなら無視できない。「・・・で、よろしかったでしょうか?」に対する批判をコンビニやファミレスが無視できなかったように、「おあいそ」も取引先との会食などがあるビジネスパーソンにとってどうでもいいことではない。

ネットで調べてみると、前者は北海道・東北の方言であるとか、文法的には間違っていない(婉曲表現としての過去形)という話もあるようで、単なる捉えようとも言えるのに対して、後者は語彙や相手への心遣いに関わる問題であり、格好の悪さという点では「おあいそ」が上のように思える。


続きはこちら