企業戦略と調達・購買戦略は同期して語られることはあまり多くありません。
しかし企業の中期経営計画などの経営計画では人件費の削減とコスト削減は必ずと言っていいほど施策として取り上げられます。


一方で調達部門出身の社長が未だに決して多くないという事実や近年の調達改革を進める企業のプロジェクトリーダーは少なからず他部門から来られた方である、ということから調達部門の社内的な地位が高くないことは否定できません。
経営者から見ると調達・購買部門は便利なコスト削減請負人程度の位置づけなのかもしれません。

アジルアソシエイツが毎年実施している調達購買部門長調査によると、経営者から特に最近高まっている調達購買部門への期待としてトップに上げられているのは『コスト削減』です。一方で注目すべきなのは第二位に『CSR、コンプライアンス、内部統制の確保』が上げられていることです。
従来であれば調達購買部門の果たすべき基本機能はQCD(品質、コスト、納期)
と言われていましたが、QとDは上位に入っていません。つまり、QとDはあたり前、その上で、CSRの確保やサプライヤリスクマネジメント、さらなるコスト削減などに対する期待が高まっているということです。

このように調達・購買の機能そのものや戦略は企業戦略や経営者の期待、時代背景等によって、もっとダイナミックに変化する(させる)べきものなのです。一部の企業では調達・購買戦略がより重要な機能戦略として位置づけられてきています。

その代表的な事例が米アップル社でしょう。アップル社は昨年の2月に取引先監査報告書を公開し、自社の取引先37拠点でCSR違反のような規範違反があることを発表しています。しかし今年の1月には一部メディアにアップルのサプライチェーンである中国の部品サプライヤー1社における過酷な労働環境が報じられた取り上げられました。

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