懐かしの山口百恵「プレイバックPart2」のメロディー。絵画風の人物がくるりと振り向き、モノトーン幾何学模様のダンサーが不気味に踊る。セリフは「キーエンス」「その会社 キーエンス」のみ。そんなキーエンスのCMが話題だ。「意味不明」「インパクト狙いだろう」などといわれるが、その意図はどこにあるのだろうか。


■「その会社、キーエンス!篇Part2 15秒Ver.」(キーエンスホームページ)
  http://bit.ly/fcEX6f

 同CMは2011年にはピンク・レディーの「UFO」のアレンジで放映されていたものの続編ともいうべきもの。そもそも、キーエンスは産業機械用の制御用センサーを開発、販売する会社。バリバリのB to Bだ。本来、食品や飲料、日雑品などのようにCMで売上を盛り上げる業種ではない。毎年放映のタイミングが就職活動初期にあたるため、「学生へのアピール説」が有力だ。だが、狙いはそれだけではないと考えられる。

 キーエンスの営業スタイルの特徴は、各営業担当者が企業の工場など生産現場にアプローチをかけることにある。生産ラインを徹底的に研究させてもらい、同社のセンサーを組み込むことで生産性の向上やロス率低減などの効果を挙げる提案を行うのである。そのため、提案先のキーマンはライン長であり、購買意志決定者(ディシジョンメーカー)は工場の「エンジニアリング予算」を握っている工場長だ。製品の原材料にあたる物を売り込むわけではないので、購買部門などではないのである。その分、アプローチ先は多くなる。さらに、新規の営業先に訪問した際などには必ずキーマンと面談させてもらえるわけではない。まずは窓口となるような工場の担当者(ゲートキーパー)が存在する。購買意思決定に影響を及ぼすそれらの人々をインフルエンサーという。

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