『生命を捉えなおす』(清水博)・『動的平衡』(福岡伸一)の2冊、そしてベルグソンの言葉、『徒然草』の一話から「生命・生きること」を改めて考える。

 「良い本」というのは、その本が扱うテーマをよく理解させてくれるのは当然ながら、そこで展開される観点を1つのレンズとして世界全体を見つめ直してみるとき、より深い認識を与えてくれるものでもあります。
 その意味で、この2冊───『生命を捉えなおす』(清水博)、『動的平衡』(福岡伸一)はとても「良い本」です。両書とも、これまでの科学が邁進してきた機械還元論的な生命観を超えて、全体論的な視座から生命を見つめ直し、生命を「動的な秩序」として定義します。と同時に、そしてそれを基にして、仕事のこと、生活のことに新しい気づきを与えてくれます。

 私が特に面白かったのは、清水先生が、極力、西洋的な思考アプローチと形而下の分析を行いながら、かつ、東洋の叡智が過去から直観的に捉えていた生命観を慎重に取り込みつつ、新しい生命科学を打ち立てようとする論理過程です。また、清水先生は、生命という切り口から、「場」という概念に新しい光を与えます。私の場合は、組織論が仕事に関連していますから、これを事業組織の「場」に敷衍して考えることはとても有意義でした。
 他方、福岡先生の本は、新しい生命観を基に、昨今のダイエットブームやサプリメントブームの危うさを知ることができます。また、歴史上のいろいろな科学者たちを紹介してくれており、そうした群像物語から刺激をもらうこともできます。

◆生命は瞬時も休みなく「定規立て」をやり続けている
 きょうはこの2冊にインスパイアされ、「生命・生きること」について私が再認識したことをまとめます。さて、下図をみてください───




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