2月14日付日本経済新聞に「アサヒ、食品事業を強化」というタイトルの記事が掲載された。「酒類頼み脱却」「フリーズドライなどグループで生産拡大」とサブタイトルにある。ビールの一大帝国はどのような変貌を遂げようとしているのか?

 アサヒグループの11年12月期の連結売上高は1兆4627億円。そのうち国内酒類事業が6割以上を占めるというから、まだまだ主力事業であることに変わりはない。だが、列車内の交通広告を見ても、コンビニやスーパーの商品棚を見ても賑わっているのは低アルコールやノンアルコール飲料ばかり。ビールは右肩下がりなのだ。若者を中心とした「ビール離れ」や健康志向などによる低・ノンアルコール人気に対応しようとすればするほど、主力のビールが圧迫されるという自縄自縛。

 いやいや、1兆4千億を超える売上がそう簡単に瓦解するはずはないと考える向きは多いだろう。しかし、諸行無常。例えばコダック社。2010年に3年連続の最終赤字を計上し、2011年には資金繰りの懸念から株価が急落、1ドルを下回った。そして2012年に連邦破産法11条の適用を申請するに至った。2000年には約1兆700億円(約140億ドル)だった同社の売上高は2010年には3,600億円と減少した。
 2000年に約1兆4,400億とほぼ同水準の売上高だった富士フィルムと成否を分けたのは何だったのか。富士フィルムはデジタル化の波に対応し、さらに事務機や高機能材料、医療などの幅広い事業を擁する精密化学メーカーに転身したのだ。


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