最近ではどこのメーカーも、開発費を抑えるためにモデルサイクルを長くする傾向があります。ところがスバルのインプレッサに限っては、初代は8年、2代目では7年、先代の3代目に至っては何と4年でフルモデルチェンジを行ってきました。トレンドに逆行するかのように、代を経る毎に世代交代が短くなっているのです。
しかも先代でプラットフォームを更新したばかりなのに、今回はプラットフォームだけでなく、エンジンとミッションまでも全面的に一新してきたのです。



4代目新型インプレッサは、2つの目標に向けて開発されました。
ひとつ目は、ボディサイズを先代とほぼ同寸に留め、燃費性能に磨きをかけることです。
そのためエンジンは、低速トルクと燃費に優れたロングストロークのFB型(1600ccと2000cc)を搭載しました。もともと水平対抗エンジンは横幅が広いために、ロングストローク化は物理的に難しいのですね。そこでストロークが伸びて拡幅した分は、動弁系のチェーン駆動化とコンロッド短縮化によって抑えています。
興味深いのは、エンジンオイル容量を250cc減らしたことです。オイルが少ないと暖気が早まり短距離燃費に効くそうで、燃費改善とは本当に地道な創意工夫の積み重ねなのだと、あらためて実感させられます。
またミッションも効率を向上させるために、チェーンでプーリーを駆動するスバル独自の「リニアトロニックCVT」を採用しました。しかも大振りなレガシィ用ではなく、小型軽量タイプを新開発してきました。これらの結果、FFの1600cc・リニアトロニック仕様で、20km/L(10.15モード)の好燃費をマークしたのです。



2つ目の目標は、ダウンサイジングのニーズにキャッチアップすることでした。
実際にディーラーに行くと「今度のインプレッサは、ダウンサイジング・レガシィです!」というセールストークを受け、なるほどと納得。
ボディ外寸を変えずに室内を拡大する秘策として採用されたのが、Aピラーの200mm前出しでした。また広くて見やすい前方視界を確保するために、Aピラーを細くしたりドアミラーを運転席に近づけて取り付ける等、きめ細かい設計を織り込んでいます。
また高張力鋼板を5割弱使って軽量化と高剛性を両立、同クラスで最軽量ボディに仕立ててきました。そしてその結果、水平対抗エンジンの低重心が更に際立ち、優れたドライバビリティを実現することができたのです。


わずか4年でプラットフォームを一新して、エンジンもミッションも最新技術を惜しみ無く注ぎ込んで造り上げた新型インプレッサ。超円高が襲い掛かる中、独自技術に磨きをかけて勝負に出るスバルには、是非とも頑張ってほしいと思います!


(拓波幸としひろ)



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