スバルインプレッサといえば、ラリーに勝つために圧倒的な走行性能で武装した「4WD+ターボ」のWRXを筆頭に、悪路や高速安定性に長けた「4WD+NA」や、低重心で一味違う「FF+NA」と、幅広くラインアップしていました。
ただ走行性能をあまりに極めすぎて、価格も性能も浮世離れしてしまうのは、日本人の悪い癖。スカイラインがGT−Rと分離して性格を明確に分けたように、どうやらインプレッサもWRX STIとは袂を分かつようです。
でも庶民としては「高額すぎて手が出ない超絶性能」よりも、「リーズナブルな持て余す高性能」に「誇らしさ」が加わったクルマのほうが、嬉しいんだけどなあ〜。



それはさておき4代目インプレッサでは、過激な走りはあちらに任せて、NAエンジンをベースに4WDとFFを展開し、家族の誰もが納得するクルマの開発にシフトしてきました。
開発責任者の竹内さんは、開発スタンスを次のようにコメントしています。


プロジェクトチームのひとりひとりに、自分自身をターゲットユーザーにするように考えてもらいました。自分にとってこのクルマはお金を払う価値があるのか? それを評価基準にするという意識を強く持たせたのです。頭のなかに、自分がこれを買いに行く姿、奥さんや家族に新しい仲間として紹介している様子、友達を乗せて喜んでもらっているシーンなどを常に思い描いてもらったのです。それはある意味で生々しいほどの身の丈商品だということです。



ここでスバルらしいのが、主幹の阿部さんのコメントです。


スバルのエンジニアに毎日しつこくマーケティング、お客様目線の話をしたところで、根っこの部分での自分たちのこだわりを曲げるようなことはありません。自動車の本質的な魅力を創造するというのは従来通り。その上で、きちんとお客様のほうを向いて開発しなければいけないということを理解してもらうように努力してきただけですから、マーケティングアウトに偏りすぎて本質を外すという心配はまったくしていませんでした。



スバルが造れば、マーケット調査に依存したふにゃふにゃのファミリーカーには断じてならない!というコメントが、クルマ好きには何よりも一番嬉しいですね。


少し前に出版された「歴代スバルインプレッサのすべて」を読んでいたら、初代のページで「ファミリーユースに向けたアーバン・セダン」というキーワードを見つけました。4代目インプレッサは、初代に通じるところがあると感じていたのですが、これで大納得!スバルは「過激なラリー仕様」と同じくらい、上質で室内が広く燃費に優れたスポーティな「マイカー」を造りたかったのだと、しみじみ感じ入った次第です。


(拓波幸としひろ)



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