ポスティング・システムで米メジャーリーグに挑戦する北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有の落札球団が、テキサス・レンジャーズであることが明らかにあった。
　落札球団とともに注目されていた金額は明らかにされていないが、現地報道によると、ボストン・レッドソックスが2006年に松坂大輔の交渉権を落札した際の5,111万ドルを上回る5,170万ドルとされている。
　米ドルで松坂の落札金額を上回ったダルビッシュだが、日本円に換算すると、松坂が当時の為替レートで60億円に対し、ダルビッシュは現在のレートで40億円。それだけダルビッシュの評価が高いのだが、個人的にはダルビッシュの評価とともに、この５年間で急速に進行した円高に驚くばかりだ。

　冗談はともかく、ファンならずとも気にかかるのは、40億円の使い道だ。レンジャーズとダルビッシュの間で契約が成立すれば、40億円ははれてファイターズのものになる。

　松坂の場合、ライオンズは60億円を本拠地、西武ドームの大規模な改修工事にあてたが、ファンの記憶に新しいのはトイレの改修だろう。ボクも、高級ホテルを思わせる外野席の男性用トイレに、思わずカメラを構えそうになってしまった。

　松坂マネーによるトイレの改修工事は、アメリカのニューヨーク・タイムス紙でも紹介された。「ライオンズは、松坂を失って傷ついたファンの心を『温める』ために、壮大なプロジェクトを始動した。それは球場に『ヒーター付きのトイレ』を設置することだった」、「かつての偉大な選手を称える場所としては、ヤンキースタジアムのモニュメント・パークに代表される殿堂施設や、球場の正面エントランス付近に銅像や肖像画などを設置することがあるが、松坂の場合のそれは『豪華なトイレ』だった」とかなり皮肉めいた記事だったが、人間生きている限りトイレに世話にならないことはないし、できることならきれいなトイレに世話になりたい。

　ロサンゼルス・ドジャースでオーナーと務めたウォルター・オマリー氏は、ドジャースの本拠地、ドジャー・スタジアムのお披露目にあたり、興行施設の雰囲気作りに関する社員教育の一環として、従業員全員にディズニーランドを見学させたが、トイレについても、「トイレが綺麗だからって球場に来る客はいない。だが、トイレが汚ければ誰も来なくなる」とその美化に妥協を許さなかった。

　わが国のプロ野球では、球場のトイレがきれいになったのは、つい最近のこと。西鉄ライオンズの主力選手、豊田泰光氏は、「（ライオンズの本拠地）平和台球場のトイレは汚かった。直してもらったら優勝できた」と、強いチームにはきれいなトイレが欠かせないと、独自の野球哲学（？）を疲労した。

　また、1996年まで近鉄バファローズが準本拠地として使用していた日本生命球場には、1960年代前半まで女性用トイレが無かった。1970年に太田幸司が入団、女子高生のファンが球場に訪れるようになったことで、女性用トイレを設置した。

　前出のオマリー氏のコメントではないが、プロ野球がスポーツ・ビジネスである以上、トイレの美化は不可欠。特に、女性ファンが増えている昨今、トイレが汚いようでは、ファンに背を向けられる。

　ダルビッシュ・マネーで、ファイターズの本拠地、札幌ドームのトイレがどう生まれ変わるのかが楽しみだが、札幌ドームは札幌市の所有であって、ファイターズのものではない。
　ならばきっと、ファイターズが所有する２軍の本拠地、ファイターズスタジアムのトイレがきれいになるに違いない、のかな。

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