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福島原発事故の影響で原発を停止しているため、今年の夏は電力不足になる可能性があるとして、政府や東京電力から幅広い節電が呼びかけられている。電力不足が明確に問題となるのが電力消費の大きくなる時間帯であるピークタイム。このピークタイムの消費電力を下げるテレビとして東芝からレグザ「19P2」が7月上旬に発売される。ここではその搭載するピークシフト機能と、今後のテレビに与える可能性について考えてみたい。


■レグザのピークシフト機能とは?
ピークシフトというのは、もっとも電力消費が多くなる時間帯での電力の消費を抑える機能。19P2では具体的には本体に充電式バッテリを搭載し、約3時間、本体に搭載したバッテリで駆動することができ、電源ケーブルからの電気を消費しないようになっている。そのため、家のなかの消費電力をテレビの分だけ下げることができるというわけだ。このピークシフト機能自体は19P2がはじめて搭載したわけではなくThinkPadなどのノートPCも搭載している。

■ピークシフトだけじゃない省電力機能
このバッテリ駆動のピークシフトモードへの移行はリモコンボタン1つで行うことができる。バッテリの充電は逆に電力消費が少ないと想定される時間帯である夜10時から朝9時までの間に充電される。ちなみに画面の明るさなどを抑えた「節電モード」を搭載し、通常より約18%消費電力を下げることができ、これを使うと最大約4時間のバッテリ駆動が可能になる。また、チューナーも思い切ってBS、110度CSデジタルに対応していない。

■19インチというサイズ
19P2のディスプレイサイズは名前通り19インチであり、一般にパーソナルサイズと呼ばれるようなものだ。解像度もフルHDではなく1366☓768ドット、消費電力の小さなLEDラックライト、そして数々の省電力的な工夫により消費電力は30Wとかなり小さい。これに対して同社の32インチの32A2でも82Wになる。消費電力が大きければ駆動するための電力が大きくなり、バッテリ駆動しようとすればバッテリサイズが大きくなり、コストも上がってしまう。

■大きければいいという価値観の問題
19P2のインパクトは大きく、今後のテレビに何らかの影響を与えることは間違いないだろう。他社からもバッテリ駆動のテレビが出てくる可能性もある。19P2はかなり短時間で設計する必要があったため、作り易い19インチとなった面もあると思うが、時間をかけて作ることができてもバッテリ駆動の大型テレビは46インチ以上では難しいだろう。この数年、テレビはフルHDで大きければいいというような風潮があったが、そのマインドは今後、変えていく必要があるのではないだろうか?ハイブリッド自動車が市民権を得たように。


一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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