今や国産スマートフォンにもワンセグが搭載されるご時世。2006年春に開始された「ワンセグ」は凄い勢いで普及し、もはやごく普通の人の日常会話のなかで使われる言葉となった。しかし、なかにはワンセグに対して妙な誤解をしている人もいて、「韓国のワンセグは画質がいい」などと妙なことを言い出すIT業界人さえいる。ここでは、ワンセグが何なのか?をごく簡単におさらいしてみたい。


■ワンセグって何だ?
ワンセグ放送は実は日本の地上波デジタル放送の一部だ。地上波デジタル放送はUHFの帯域を使って放送されているのだが、これは13〜62の50個のチャンネルで構成されている。このチャンネルの1つ1つは実は13個のセグメントに分けて帯域が管理されている。この13個のセグメントのうち、ハイビジョン放送は12個を使って放送される。そして、このなかの1個のセグメントで放送されているのがワンセグだ。

■ワンセグの画質
標準解像度のSD解像度(640☓480ドット)の放送でも4セグメントであるため、1セグメントしか使わないワンセグの帯域はわずか416kbps。データ通信などさまざまなデータも含むために実際の番組の映像転送に使われるのはわずか128kbpsになってしまう。そのため、解像度は320☓240ドットに過ぎず、フレームレートは15フレーム/秒になっている。なお、圧縮形式はH.264だ。

■ワンセグの画質を向上させる技術
ワンセグの素の映像自体のクオリティがあまり高くないため、ワンセグ機能を搭載した携帯電話やワンセグテレビのなかにはパナソニックの携帯電話の一部機種など、フレームレートを15フレーム/秒から60フレーム/秒に変換する機能(「モバイルWスピード」)を搭載するものも登場している。通常のテレビのフレームレートが30フレーム/秒なので15フレーム/秒では映像がやや不自然にカクカクしてしまうためだ。このように現在のワンセグは視聴機器によって映像クオリティが変わるものになっている。

■世界のモバイル放送
このようにワンセグがやや映像クオリティが低い規格であるのに対して、ヨーロッパや韓国、アメリカなど他の国のモバイルデバイス向けのデジタル放送の規格はよりクオリティの高いものになっている。たとえば、韓国のT-DMB規格ではビットレートが1.5Mbpsとなっており、ワンセグの416kbpsの3倍以上の帯域を持ち、ワンセグより高画質を実現している。ちょっと悲しい話だ。


一条真人 @ichijomasahito  [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。








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