先行ロードショーの場所となるはずだった被災前の岡田劇場

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西村滋の「お菓子放浪記」を近藤明男監督が映画化した『エクレール お菓子放浪記』(5月21日公開)。

【写真】押し寄せた津波に飲み込まれ、跡形もなく流されてしまった岡田劇場

本作の撮影は、東日本大震災で津波が町を襲う、およそ5ヶ月前の2010年10月に宮城県石巻市で行われていた。同県の市民・行政・企業の協力のもと、宮城発の映画として製作され、第二次大戦下を一人の孤児が必死に生き抜き、やがて希望の光を見い出す姿を描いている。

宮城県では、本作の製作委員会と共に映画を支える、「映画『エクレール お菓子放浪記』製作と上映を支える宮城県民の会」が設立され、炊き出しやエキストラ参加など、様々な面でのバックアップが県を挙げて進められていた。東北では4月23日(土)先行上映を予定していたが、今回の大震災で押し寄せた津波は、メインロケ地の石巻市を一瞬にして飲み込み、撮影にも使われ、先行ロードショーの場所となるはずだった岡田劇場も跡形もなく流されてしまった。美しい町並みは破壊され、エキストラで出演した人たちの中には未だに行方がわからない方々もいる状況だ。

東京では当初の予定通り、5月21日(土)より公開となるが、宮城・岩手・福島での公開は見送られ、現在3県での上映めどは立っていない。しかし、本作が今の時代に語ろうとしていたテーマは“支え合う人の心の優しさ”。今こそ、全国にこの映画を届けることで、「東北の復興に向け支援の輪を広げたい」と関係者一同、宮城県をはじめとする東北各県でこの映画作りを支えてくれた人々の思いをつなぎ合わせるため、取り組みを始めている。

まず、全日本菓子協会(映画『エクレール お菓子放浪記』後援)より被災地にお菓子を届ける支援を開始。劇中で主人公のアキオ少年が一時身を寄せる旅一座の座長、尾上紋一郎を演じている林隆三は、出演料の全額を寄付した。幼少期の6年間を仙台で過ごしたことから“みやぎ夢大使”に任命されている林は、ゆかりのある東北への思いはいっそう強い。

また、東京、神戸、福岡の3ヶ所で行う本作の一般試写会では、チャリティーとして上映会場で義援金を寄付するために募金を募り、被災地の一日も早い復旧・復興をサポートしていく。【Movie Walker】

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