ソフィア・コッポラとスティーヴン・ドーフが来日
 「日々の生活の細かな積み重ねが人生感を変えて行く。大きなドラマはいらない」と、ソフィア・コッポラ監督は語る。彼女の最新作である映画『SOMEWHERE』は、すさんだセレブ生活を送る俳優の父と、ティーンエイジャーになる一歩手前の娘が過ごす、かけがえのない日々を描いたハートフルなヒューマンドラマ。第67回ヴィネチア国際映画祭では、金獅子賞を受賞した作品である。

 ソフィア監督と主演のスティーヴン・ドーフは、4月2日の全国ロードショーに先駆けて、1月19日に来日。六本木にあるザ・リッツ・カールトン東京で記者会見を開いた。主人公達の設定についてソフィアは「作品内では両親が離婚をしていたり、ハリウッドに住んでいたりするので、私の境遇とは随分違う。でも有名な父を持つという部分に関しては実体験で知識を持っている。」と実生活を生かして作ることができたことを語った。また娘を出産した経験もこの映画の脚本を製作する際に役に立ったそうだ。ドラマチックな出来事と言うよりは日常。まさに日々の生活からがあって人生感を変えるストーリーを持つ映画が生まれたのである。

 この映画は、役への入り方にもこだわりを持って作られたようだ。主演のスティーヴン・ドーフは、撮影に入る際、舞台となるハリウッド伝説のホテル“シャトー・マーモント”に役柄の「ジョニー・マルコ」としてチェック・インするところから始めた。そのことで役に入り込む最高のスタートを切れたそうだ。また、映画の中で娘役・クレオを演じたエル・ファニングについて「撮影が終わってからも映画と同じ様に電話をしたいなと思った。でも、本当の父親じゃないから、そういうわけにも行かないし(笑)」と、強烈に役柄に入り込んだことを示すエピソードも語ってくれた。

 実体験を投影することで繊細な気持ちの動きまでも描けた脚本に、役の気持ちが抜けない程に入り込んだ演技を併せて、ヴィネチアを沸かせた映画『SOMEWHERE』。日本ではどの様な反響をもたらすのだろうか。公開は、4月2日。新宿ピカデリーほか全国ロードショーとなる。

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映画『SOMEWHERE』 公式サイト