吉野家が伊藤忠商事が保有していた自己株式の買い取りを決議した。この開示からは、大株主との業務提携の限界が見えた。

吉野家は、伊藤忠商事の保有していた自己株式約20%を買い取ることを決議したそうだ。

http://www.yoshinoya-holdings.com/holdings/pdf/2011/110117.pdf


伊藤忠商事は2000年にセゾングループから吉野家株式を譲り受けている。


商社が行うM&Aでは、買収した会社の仕入ルートないし販売ルートに入り込んで、手数料を稼ぐことを目的とすることが一般的であり、吉野家株式買収のケースでも、買収以降、資本提携とともに調達にもかかわる業務提携が結ばれている。


そして今回の吉野家株式売却においては、業務提携に関しては引き続き継続する予定と公表されているものの、条件次第では動きが出る可能性も十分ありえるだろうと推測する。


資源高の影響で調達コストは上昇する一方で、販売価格は不況とライバル社との激しい競争の中では容易にあげることは出来ない。
しかし、仕入先が筆頭株主であれば、価格交渉もフリーハンドで行うことが出来ないことは容易に想像がつく。

これは吉野家と伊藤忠商事との関係だけに当てはまる話ではない。
資源高や人口減という環境下において、日本国内において成立しえていた
共栄関係が保てなくなりつつあるあらわれなのだ。

両社の提携関係は突き詰めて考えていくと、今後は一方が犠牲を負担するのでなければ続けられない、そんな未来が見えてしまったからこその資本提携解消なのではないだろうか。




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