カシオ計算機は飽和し、低価格化に歯止めがかからないコンパクトデジカメ市場に対し、新たな売場提案でテコ入れを図る戦略に出た。


 11月1日付日経MJ家電&eビジネス欄に掲載されたコラム。「コンパクトデジカメ メーカー売場提案 利用シーンや一体展示 スペック訴求から脱却」という見出しの文字が目に入る。マーケティングを正しく理解している者ならば、これらの言葉を見ただけでカシオが「マーケティングの本質」に立ち戻ることで、成熟期のコンパクトデジカメ市場での生き残りを図る戦略に出たことがわかる。

 製品、及び製品カテゴリの製品の市場への浸透状況は、導入期→成長期→成熟期→衰退期という普及過程(プロダクトライフサイクル)を辿る。製品が市場の潜在顧客の大部分に行き渡った段階である成熟期においては、ブランドや製品バリエーションが多様化すると同時に価格競争が熾烈化する。やがて競争に敗れた弱いブランドが脱落していき、衰退期に至ることになる。
 「まだまだユーザーも多いし衰退期になるのは早いだろう」と思うかもしれない。だが本当にそうだろうか。こと、「コンパクトデジカメ」というカテゴリで考えれば、オリンパスが往年の名機PENの名を冠した機種を投入して火を付けた「ミラーレス一眼カメラ」というカテゴリがある。ソニーはミノルタ時代からの一眼レフカメラブランドのαシリーズで、「NEX」シリーズというミラーレス一眼カメラを投入した。ミラーレスは一眼カメラの特徴である光学ファインダーがなく、液晶画面で対象を確認して撮影するスタイルで、見かけや使い勝手はコンパクトデジカメと大差がない。パナソニック「LUMIX」シリーズは以前から一眼とコンパクトを同ブランドで展開している。

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