行政刷新会議による事業仕分けが情け容赦なく進んでおり、本連載よりも現実に起きていることのほうがエキサイティングであるため、筆者も毎回テーマ探しが大変であるが、今回は、いずれ実施されるであろう公務員改革の一環として官舎無用論というのを提案してみたい。

10年ほど前、都心にある公務員の豪華官舎が雑誌で叩かれたことがあるが、そもそも官舎はなんのためにあるのだろうか。公務員は賃貸アパートを借りた場合には27000円程度の家賃補助が支給される。

もちろん、家賃補助を超える分を超える分は持ち出しになるが、そもそも家賃は生活費の一部として、自分の給料から支払うのが当然である。中小企業に家賃手当などはそもそも存在しないことを考えれば、安い家賃で広くて便利のいい官舎に住もうなどというのはワガママである。

分譲マンションがだぶつき賃貸への転用が行われているにもかかわらず官舎に入居するメリットはただ一つ。入居の際に敷金礼金を払わなくてよいことである。それならば転勤に伴う移転手当に敷金礼金も含めて支給すればよい。

そして、官舎は廃止し、建物ごと民間不動産業者に払い下げればよいであろう。
官舎の中には築40年以上というボロボロの建物があるが、こうした物件は雇用促進住宅やワーキングプア向けの格安物件として転用した方がはるかに社会の役に立つ。もちろん新しい官舎は普通のアパートとして転用すれば良い。

民間水準より高い給料をもらっている公務員が、格安官舎に住む理由はどこにもない。

一人あたりの転勤転居に伴う敷金礼金平均額を仮に15万円とすると、1000人の転勤で1億5千万円ほどが必要になるが、国有財産の払い下げによる増収や遊休マンションの活性化など投資効果も大きい。

そして、官舎貸与管理事務を行っていた職員を減らすことが出来るから、人件費削減にもつながり、長期的視点に立てばメリットのほうが大きい。

もちろん、賃貸マンションがほとんど存在しない田舎に転勤する職員のための官舎は引き続き運用する必要があるが、都市部においては公務員官舎は無用である。

連日午前様帰宅の霞ヶ関勤務者に対しては、家族を首都圏近県の環境の良いマンションに住まわせ、職員本人は都心部の安いビジネスホテルで仮眠を取らせるようにすればよいであろう。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)

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