新Android携帯『Droid』:高性能でも乗り換えない理由
Photo credit: Jonathan Snyder/Wired.com
米Verizon Wireless社が提供する新しい『Android』携帯『Droid』を、筆者は発売前の数日間試してみた。非常にすばらしい携帯電話だ。
だが筆者は、(『iPhone』と米AT&T社から逃れることを切望してきたのだが、)今のところ、DroidのためにVerizon社に乗り換えるつもりはない。
誤解しないでほしい。筆者は米Motorola社のこの製品に非常に感銘を受けている。現在のスマートフォン市場では、DroidとiPhoneが最良の2製品だと思う。DroidはiPhoneに、あらゆる点において競合できる製品だ。
スクリーンなどいくつかの性能に関しては、DroidはiPhoneをはるかにしのいでいる。Droidの鮮明な854 x 440ピクセルの高解像度ディスプレイは、480 x 320ピクセルのiPhoneスクリーンなど吹き飛ばしてしまう。よりくっきりとクリアで、文字も読みやすい。
ボイスコール機能も、iPhoneよりはるかに優れている。通話者の声は鮮明でクリアだ。さらに、『Google Voice』を設定し、電話の発着信やショート・メッセージ・サービス(SMS)に対応させることができる。これはiPhoneではできないことだ。
筆者の連絡先リスト、カレンダー、電子メールは、現在『Google』にホスティングされているが、Droidで自分の情報を利用できるよう設定するのに5分もかからなかった。私のリストには3000以上の連絡先が掲載されているので、3Gネットワーク経由でそれらすべてをDroidに同期させるのには1時間近くかかったが(その間、機器が熱くなったのは気になった)、デスクトップ・ソフトウェアをインストールする必要はなく、いかなるケーブルも接続する必要はなかった。
それは間違いなく、自分が使用していたすべての携帯電話のなかでも、もっとも速い設定プロセスだった。そして設定が済むと、筆者が求めるすべてのものが搭載されていた。これとは反対に、iPhoneをGoogleに同期させるのは容易ではなく、時間のかかる作業だった。そしていずれにしても、『iTunes』をインストールしたり、iPhoneをUSBケーブルで自分のコンピューターに接続しなくてはならない。
DroidはVerizon社の3Gネットワークを使っており、アドホックな個人的テストにおいてはAT&T社の接続より優れているという感触を持った。ダウンロードも速く、データ接続も、総合的により安定していた。
インターフェースや機能においては、Droidは、性能と使いやすさにおいてiPhoneと真に比肩しうる、初めての機器といっていいだろう。違いはあるが、良い悪いではなく、単に異なるだけだ。
スクリーン上のバーチャル・キーボードは、iPhoneのものとほぼ同じように機能する。さらには、求めていると思われる語句の候補を1つだけ提示するのではなく複数の候補語句を提示し、それらの中から適切なものを選択できるという点に関しては、iPhoneよりも優れている。
マルチタッチ機能については、iPhoneに負けるところがある。つまり、スクリーンをピンチして画像を拡大することができない。だが、iPhoneと同じくダブルタップで拡大できるし、自分の読みたい欄に合うよう表示を拡大するということに関しては、等しく優れている。
iPhone用アプリケーションが10万あるのに対し、Android Marketで提供されるAndroid用アプリケーションは1万しかないが、充分な幅の選択肢が用意されているようだ。
さて、筆者がDroidに乗り換えない理由は2つある。まず最初に、ハードウェア・キーボードが問題だ。特に優れているというものではなく、スライドアウトして利用するという作りが故障につながるという懸念がある。その点を確認するには、3カ月から半年にかけて頻繁に使用してみるという以外に方法がないが、それはあまり冒したくないリスクだ。特に、スクリーン上のバーチャル・キーボードが非常に優れているのだから、このリスクは冒す必要があるとは思えない。
さらに、このハードウェア・キーボードのせいで重量が重くなっている。Droidの重量は約170グラムで、iPhoneよりも約57グラム重いのだ。ということで、キーボードが無く、より軽いDroidが出てくるまで待ちたいと思う。
2つ目の大きな理由は、筆者が『Instapaper Pro』および『Tweetie』という2つのiPhoneアプリに依存しているということだ。そのほかにも、『RunKeeper』『Stanza』『Pandora』やいくつかのゲームを使用することもあるが、InstapaperとTweetieは欠かせない。
Tweetieに関しては、おそらく無くても大丈夫かもしれない。Android用の『Twitter』アプリは数多くあるし、最も人気の高い『Twidroid』でも、(Tweetieの持つ優雅さとスピードには欠けているとしても)、じゅうぶん役に立ちそうだ。
だが、オフラインのときでも、自分の読みたいニュース記事やブログ投稿を収集し、再フォーマットし、表示してくれるInstapaperの機能は、通勤時やダウンタイム時の不可欠な友だろう。