麻布十番 もうひとつのお祭り

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麻布十番と言えば、8月に行われる「納涼祭り」が有名。
その納涼祭りも終わり、静けさが戻った9月の麻布十番で、いかにも東京の下町らしい「秋祭り」が毎年行われていることはあまり知られていない。

出店は出ない。観光客もほとんど来ない。
商店街と町会が、十番稲荷神社、氷川神社と行う祭りで、小さいけれど、由緒正しく古い歴史を持つお神輿が担がれる。
おしゃれな飲食店がひしめき合う、夜の麻布十番しかご存知ない方は意外な一面が見られるお祭り。

「町会」という制度は賃貸で人生の少しの間だけ都会に暮らす人や、近所づきあい自体を拒む人にとっては必要ないかもしれない。
記者も麻布十番で生まれ育った人間ではないし、住居も賃貸だ。近所づきあいも挨拶程度しかしていない、が……。

真夏の寝苦しさもなくなり、まったりと惰眠を貪る日曜日の午後に聞こえてくるお神輿の音!独特のかけ声、先導する笛の音、手拍子……に起こされ窓を開ける。町会ごとに代々伝わる半纏を身にまとい、練り歩くお神輿を確認すると今年もカメラを持って部屋を飛び出していた。


今年は六つの町会のお神輿が、それぞれの町会の半纏を誇らしげに着こなす、総勢400人ともいわれる担ぎ手によって夕方5時まで街中を練り歩いた。ムービーをまわす外国人や、この祭りファンでカメラを構える人、担いでいる人の家族や、町会・商店街の人たちが囲み、のんびり見守る地元の秋祭り。
「私はやっぱり納涼祭りよりこっちが好きだなぁ」と見ていると、「来年は半纏着て担ぎなよ」と町会の役員さんが声をかけてくれる。

今年は終わってしまったけれど、そんな人情味あふれる粋な下町・麻布十番も知りたい方は、納涼祭りだけでなく9月の秋祭りも記憶に留めておいて欲しい。

(Written by 福士由紀)

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