便利と快適さを支える小さな巨人!SFの世界を実現化してきた「センサー」【最新ハイテク講座】
現代社会はかゆところにまで手が届くほど親切になった。気がつけば、音声ガイダンスや防犯カメラなど、自動化された環境は、私たちに一昔前にはなかった快適な環境を与えてくれている。
こうした快適な環境を裏から支えているのが、「センサー」だ。センサーは単体でみることは少ないが、防犯グッズやロボット、電子レンジ、ガスコンロなど、センサーは日常生活のあらゆるところで使用されている。
たとえば、パソコンの作業で使うマウスの中にも光を検出するためのセンサーが入っているし、ノートパソコンの画面を閉じたときにサスペンドなどの動作に入るのも、センサーのおかげだ。
・MS、ブルーLEDセンサー採用の“次世代”ワイヤレスマウス「Explorer mouse」 - ITmedia +D PC USER
そんな人の生活を助けてくれるセンサーだが、その種類は多種多様。また様々な電子機器に内蔵されているため、センサーの名前は知っていてもその仕組みまで知っている人は少ないだろう。
そこで今回はセンサーの歴史をおさえつつ、センサー技術についてみてみよう。
■センサーの誕生
そもそもセンサーとは、どういったものを指すのだろうか。センサーはどのようにして誕生したのだろうか。簡単にまとめてみた。
●センサーってなに?
センサーとは、物理量を信号に変換する電子回路の構成要素を指す言葉だ。測定器などの電子機器に組み込まれることが多く、ロボットには欠かせないものとなっている。
●世界初のセンサーは?
センサーの中でもっとも古いものは、温度センサーだといわれている。温度センサーでもっともなじみ深いものといえば、温度計だろう。ちなみに温度センサーは家電製品の温度制御によく用いられるほか、化学工場での温度計測、水位や湿度などの計測制御にも利用されている。
そんな温度計の誕生には諸説あるが、ガリレオ・ガリレイは1592年、球部がついたガラス柱を水面に倒立させ、球部を暖めることで水面が変化することを示す空気温度計を発明した。ただし、空気温度計は天候の影響を大きく受けることから、正しい温度の測定はできなかったようだ。
■センサーの種類と用途
日常生活で使われているセンサーの中でもとくにメジャーなセンサーをみてみよう。
●温度センサー
温度とは、分子の運動エネルギーの大きさを表している。身近な例をあげれば、温度計や体温計も温度センサーのひとつだ。
体温計として使われることが多い水銀計は、温度の違いで体積が変わる水銀の性質を利用したもので、物理学者のファーレンファイト氏による功績が大きい。
ファーレンファイト氏は1713年に水銀温度計の実験を始めてから4年後の1717年にはアムステルダムで商業的な水銀計の生産が始まったとされている。
ちなみに日本で温度を表す単位は「℃」だが、米国や英国は「F」(華氏)を使用している。これはファーレンファイト氏の中国名「華倫海」に由来するからだ。
●赤外線センサー
今日でも携帯電話や警報装置といった様々な電子機器に組み込まれているのが「赤外線センサー」だ。赤外線センサーとは、赤外領域の光を検知するための装置。赤外線を受光して、その光を電気信号に変換して必要な情報を得ている。そんな赤外線センサーは動作原理の違いで、熱型赤外線センサーと量子型赤外線センサーという2種類に大別される。
熱型赤外線センサーは後述する量子型赤外線センサーに比べて感度や応答速度は遅いものの、波長帯域が広く常温で使用できるため、扱いやすい。赤外線を受光すると熱によってセンサーが温められ、素子温度の上昇によって変化する電気的性質を検知する仕組みだ。温度変化による電気抵抗の変化をみるサーミスタなどに利用される。
一方、量子型赤外線センサーは熱型赤外線センサーに比べて検出感度が高く、反応速度が速いという特徴を持っている。スキャナーに使われることがあるフォトダイオードやフォトトランジスタも量子型赤外線センサーだ。
●湿度センサー
湿度センサーの歴史は古く、もっとも古い発明は「毛髪湿度計」とされている。動物の毛(毛髪)は濡れると伸び、乾くと縮む性質を持っている。毛髪湿度計とは、脱脂した毛髪を用いた伸縮式湿度計で、今日でも公共の気象観測に用いられている。棒状の湿度計を熱電対やサーミスタに置換して電子化したものは工業分野で利用されている。
ちなみに湿度は大気中の水蒸気量を表す指標のひとつ。湿球温度(℃)・相対温度(%RH)・露天温度(℃)・水蒸気含有量※の4種の基本表示のいずれかで表現される。
※容積比または重量比
●光センサー
「フォトセンサー」とも呼ばれるセンサー。厳密にいえば、赤外線センサーもフォトセンサーの一種だ。
光センサーは対象物の有無、大きさ、明るさ、色、反射パターンなどの物理用を検出するために利用される。我々の生活に身近なCDプレイヤーやDVDレコーダー、ブルーレイレコーダーも光センサーを用いた電化製品だ。
夜になると自然に点灯し、朝になると自動的に消灯する街路灯や門灯も光センサーを応用したものだ。オートフォーカスや自動露出が当たり前となっているデジタルカメラは、光センサーの塊といっても過言ではないだろう。
スーパーやコンビニでお馴染みのバーコードリーダーもフォトセンサーの一種であるバーコードセンサーを利用している。フォトセンサーの応用範囲は広く、人が近づくと自動的に開く自動ドア、自動工作機械、ロボットなどにも使用されている。
■センサー技術はどこに向かうのか
最先端のセンサーには、どういうものがあるだろう。センサー技術が進化すると、世の中はどう変わるのだろうか。
●人間の味覚を再現 - バイオセンサー
バイオセンサーとは、生物が持つ優れた認識能力を利用あるいは模倣した化学センサー。最近ではバイオセンサーをより広義に解釈し、生体を測定するセンサーもバイオセンサーに含む場合もある。
数あるバイオセンサーの中でも最先端のセンサーは「味覚センサー」だろう。味覚センサーは舌の味雷にある味細胞の細胞膜を模して作ったセンサー。その細胞膜に物質が接触すると電圧が変化し、味を目でみられるパターンで表現できる。
この技術を応用した「味認識装置」は、酸味や塩味、旨味といった一般的な味に加え、コクやキレも測定することができる。
・味認識装置TS-5000Z - インテリジェントセンサーテクノロジー
●SFの世界が現実に
映画「マトリックス」は我々の現実がコンピューターによって創り出された仮想世界だったという前提でストーリーを展開していた。そんな仮想世界を創造するのに必要なデータを最先端のセンサー技術によって構築しようという研究がすでに始まっている。
さらに現実世界をリアルタイムでデータに変換する技術もすでに手の届くところまできているというから驚きだ。
・センサー技術の最先端:『マトリックス』の仮想世界が現実に - WIRED VISION
センサー技術は、日々目まぐるしく進歩している。より高度なセンサーが登場することにより、自分自身のコンディションをデータとして収集できる日が訪れる日も、そう遠い話ではなさそうだ。
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・視聴者が参加する時代へ!ネットにつながる「テレビ」
・【最新ハイテク講座】記事バックナンバー
こうした快適な環境を裏から支えているのが、「センサー」だ。センサーは単体でみることは少ないが、防犯グッズやロボット、電子レンジ、ガスコンロなど、センサーは日常生活のあらゆるところで使用されている。
・MS、ブルーLEDセンサー採用の“次世代”ワイヤレスマウス「Explorer mouse」 - ITmedia +D PC USER
そんな人の生活を助けてくれるセンサーだが、その種類は多種多様。また様々な電子機器に内蔵されているため、センサーの名前は知っていてもその仕組みまで知っている人は少ないだろう。
そこで今回はセンサーの歴史をおさえつつ、センサー技術についてみてみよう。
■センサーの誕生
そもそもセンサーとは、どういったものを指すのだろうか。センサーはどのようにして誕生したのだろうか。簡単にまとめてみた。
●センサーってなに?
センサーとは、物理量を信号に変換する電子回路の構成要素を指す言葉だ。測定器などの電子機器に組み込まれることが多く、ロボットには欠かせないものとなっている。
●世界初のセンサーは?
センサーの中でもっとも古いものは、温度センサーだといわれている。温度センサーでもっともなじみ深いものといえば、温度計だろう。ちなみに温度センサーは家電製品の温度制御によく用いられるほか、化学工場での温度計測、水位や湿度などの計測制御にも利用されている。
そんな温度計の誕生には諸説あるが、ガリレオ・ガリレイは1592年、球部がついたガラス柱を水面に倒立させ、球部を暖めることで水面が変化することを示す空気温度計を発明した。ただし、空気温度計は天候の影響を大きく受けることから、正しい温度の測定はできなかったようだ。
■センサーの種類と用途
日常生活で使われているセンサーの中でもとくにメジャーなセンサーをみてみよう。
●温度センサー
温度とは、分子の運動エネルギーの大きさを表している。身近な例をあげれば、温度計や体温計も温度センサーのひとつだ。
体温計として使われることが多い水銀計は、温度の違いで体積が変わる水銀の性質を利用したもので、物理学者のファーレンファイト氏による功績が大きい。
ファーレンファイト氏は1713年に水銀温度計の実験を始めてから4年後の1717年にはアムステルダムで商業的な水銀計の生産が始まったとされている。
ちなみに日本で温度を表す単位は「℃」だが、米国や英国は「F」(華氏)を使用している。これはファーレンファイト氏の中国名「華倫海」に由来するからだ。
●赤外線センサー
今日でも携帯電話や警報装置といった様々な電子機器に組み込まれているのが「赤外線センサー」だ。赤外線センサーとは、赤外領域の光を検知するための装置。赤外線を受光して、その光を電気信号に変換して必要な情報を得ている。そんな赤外線センサーは動作原理の違いで、熱型赤外線センサーと量子型赤外線センサーという2種類に大別される。
熱型赤外線センサーは後述する量子型赤外線センサーに比べて感度や応答速度は遅いものの、波長帯域が広く常温で使用できるため、扱いやすい。赤外線を受光すると熱によってセンサーが温められ、素子温度の上昇によって変化する電気的性質を検知する仕組みだ。温度変化による電気抵抗の変化をみるサーミスタなどに利用される。
一方、量子型赤外線センサーは熱型赤外線センサーに比べて検出感度が高く、反応速度が速いという特徴を持っている。スキャナーに使われることがあるフォトダイオードやフォトトランジスタも量子型赤外線センサーだ。
●湿度センサー
湿度センサーの歴史は古く、もっとも古い発明は「毛髪湿度計」とされている。動物の毛(毛髪)は濡れると伸び、乾くと縮む性質を持っている。毛髪湿度計とは、脱脂した毛髪を用いた伸縮式湿度計で、今日でも公共の気象観測に用いられている。棒状の湿度計を熱電対やサーミスタに置換して電子化したものは工業分野で利用されている。
ちなみに湿度は大気中の水蒸気量を表す指標のひとつ。湿球温度(℃)・相対温度(%RH)・露天温度(℃)・水蒸気含有量※の4種の基本表示のいずれかで表現される。
※容積比または重量比
●光センサー
「フォトセンサー」とも呼ばれるセンサー。厳密にいえば、赤外線センサーもフォトセンサーの一種だ。
光センサーは対象物の有無、大きさ、明るさ、色、反射パターンなどの物理用を検出するために利用される。我々の生活に身近なCDプレイヤーやDVDレコーダー、ブルーレイレコーダーも光センサーを用いた電化製品だ。
夜になると自然に点灯し、朝になると自動的に消灯する街路灯や門灯も光センサーを応用したものだ。オートフォーカスや自動露出が当たり前となっているデジタルカメラは、光センサーの塊といっても過言ではないだろう。
スーパーやコンビニでお馴染みのバーコードリーダーもフォトセンサーの一種であるバーコードセンサーを利用している。フォトセンサーの応用範囲は広く、人が近づくと自動的に開く自動ドア、自動工作機械、ロボットなどにも使用されている。
■センサー技術はどこに向かうのか
最先端のセンサーには、どういうものがあるだろう。センサー技術が進化すると、世の中はどう変わるのだろうか。
●人間の味覚を再現 - バイオセンサー
バイオセンサーとは、生物が持つ優れた認識能力を利用あるいは模倣した化学センサー。最近ではバイオセンサーをより広義に解釈し、生体を測定するセンサーもバイオセンサーに含む場合もある。
数あるバイオセンサーの中でも最先端のセンサーは「味覚センサー」だろう。味覚センサーは舌の味雷にある味細胞の細胞膜を模して作ったセンサー。その細胞膜に物質が接触すると電圧が変化し、味を目でみられるパターンで表現できる。
この技術を応用した「味認識装置」は、酸味や塩味、旨味といった一般的な味に加え、コクやキレも測定することができる。
・味認識装置TS-5000Z - インテリジェントセンサーテクノロジー
●SFの世界が現実に
映画「マトリックス」は我々の現実がコンピューターによって創り出された仮想世界だったという前提でストーリーを展開していた。そんな仮想世界を創造するのに必要なデータを最先端のセンサー技術によって構築しようという研究がすでに始まっている。
さらに現実世界をリアルタイムでデータに変換する技術もすでに手の届くところまできているというから驚きだ。
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センサー技術は、日々目まぐるしく進歩している。より高度なセンサーが登場することにより、自分自身のコンディションをデータとして収集できる日が訪れる日も、そう遠い話ではなさそうだ。
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