CDから超軍事兵器まで 魔法の光「レーザー」は現代社会の必需品【最新ハイテク講座】
レーザー光線(以下レーザー)と聞くと、少し前まではSFの世界で活躍する技術であったが、今や、レーザーは私たちの身近にゴロゴロしている。
レーザーは、私たちが日頃から使っているDVDやCD、最近話題のブルーレイのレコーダーやプレーヤーなどにも使われている。会社の社内を見渡せば、コピー機やレーザープリンターの中にもレーザーは使われている。
このほか、イベントなどの演出から、金属加工、医療でのレーザーメス、軍事兵器に至るまでレーザーは使用されているのだ。我々の生活の多くはレーザー技術の恩恵にあずかっている。
これほど広範囲で利用されているレーザーだが、光であることは知っていても詳しく語れる人は多くないだろう。レーザーとは、いったいどういうものなのだろうか。レーザーの発展の歴史を追いながらレザー技術に迫ってみよう。
■レーザーの誕生
レーザーはどのようにして生まれたのだろうか。どのような技術を使っているのだろうか。簡単にまとめてみた。
●世界初のレーザー
レーザーは1950年、米国の物理学者チャールズ・タウンズ氏により原理が発見された。同氏は1964年、メーザー、レーザーの発見および量子エレクトロニクスの基礎的研究によりノーベル物理学賞を受賞している。
●レーザーってなに?
レーザーは人工的に作られた強力な光のことだ。そもそも「レーザー」という名称は「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(輻射の誘導放出による光増幅)」の頭文字をとったものだ。
レーザーと普通の光との違いはコヒーレントという性質にある。すなわち、レーザーは下記の3つの性質を持った光なのだ。
・単一の波長による単色性
・同位相による干渉性
・光が集中して拡散しない指光性
小学校の理科で光の性質を学ぶとき、プリズムを使用した覚えはないだろうか。太陽の光はプリズムを通すことにより虹色の光に分けることができた。レーザーはこのうちの1色のみを取り出して増幅したものだ。さらに太陽光はあらゆる方向に拡散するが、レーザーは1点に絞り込まれた光で理論的には拡散することがない。
●レーザーの原理
世の中にあるすべての物質は原子から作られており、原子がいくつか集まって分子を構成している。この分子に光を放射すると、その光が持っているエネルギーを分子に貯めることができる。このようにして活発な分子の状態に変化させた状態を「励起状態」と呼んでいる。
逆に励起状態の分子に対し、ある特定の光で刺激を与えると、分子はその光と全く同じ波長を持つ光を照射した光と同じ方向に同位相で放出する特性がある。
そこで一方向の光だけが出てくる筒を作り、この筒の両側に鏡を取り付け、片方の鏡はごくわずかに光が漏れる程度に反射面を薄くしておくと、そこから一部の光を外部に取り出すことでレーザー光が得られる。
■レーザーの多種多様な活用例
レーザーの技術はオーディオや医療、軍事などさまざまな分野で利用されている。
●オーディオ機器
映画やテレビ番組のDVDは波長が650ナノmの赤色レーザーを使用して映像や音声を再生するためのデータを読み込んでいる。
ハイビジョン番組の録画で話題のブルーレイは波長が405ナノmの青色レーザーを使用している。青色レーザーは赤色レーザーに比べて高密度であるため、メディアに照射されるビームスポットも高密度となり、限られたメディアの大きさに多くの情報を書き込むことができる。
●医療用レーザー
美容外科や形成外科ではシミやソバカス、ホクロなどの治療ではNd-YAGレーザーやルビーレーザーを使用する。
米国の有名なゴルファーが受けたことで有名になった近視矯正手術では、角膜を削るのに紫外線レーザーの一種であるエキシマレーザーが使用されている。
●対空レーザー兵器
レーザーはミサイルなどで目標を補足する装置として使用されることもあるが、レーザーそのものを新兵器として使用する技術がすでに開発されている。米国とイスラエルは1995年、高エネルギーレーザーの共同開発計画に合意し、「戦術高エネルギー・レーザー」を共同で開発中だ。
「戦術高エネルギー・レーザー」は、短距離ミサイルや巡航ミサイルなどを撃破するための兵器。ビームの直径は数cmしかないが、180m以上先に置いた鋼鉄の板を溶融させるほどの威力を備えている。
■レーザーはどこに向かうのか
レーザーはさまざまな分野で活用されているが、今後はどのような方向に向かっていくのだろうか。最近、実現されたレーザーの使用例をいくつかみてみよう。
●レーザーキーボード
レーザーはパソコンの世界を変えるかもしれない。
そのひとつが加賀電子から販売されている「バーチャルキーボード」だ。「バーチャルキーボード」はユニットから照射される半導体レーザーにより、机や壁にキーボードのパターンを投影する。キーのタッチ感は得られないが、投影されたキーに指を触れると、ユニットのセンサーが指の動きを検出し、そのキーが押されるという仕組みだ。
・バーチャルキーボード - 加賀電子
●レーザーテレビ
レーザーは強い光であることから、映像の世界を変える技術として注目されている。
レーザーテレビは三菱電機が2006年に発表した次世代テレビ。光源に赤色と緑色、青色の3色のレーザーを使用したテレビだ。通常の液晶テレビに比べて約2倍の色再現範囲により美しい映像を楽しむことができる。
・世界初「xvYCC対応レーザー光源プロジェクションテレビ」を開発 - 三菱電機
●レーザーによる核融合燃焼反応
レーザーは巨大なエネルギーを生み出す動力源としても注目されている。レーザーパルスで摂氏1億度の熱を生み出し、水素燃料ペレットの大きさを30分の1まで圧縮させると、照射したレーザーよりも多くのエネルギーが発生する核融合燃焼反応がおきるというものだ。
・世界最強のレーザー核融合実験施設、動画レポート - WIRED VISION
ここでとりあげた内容はレーザーを活用したごく一部の例に過ぎないが、レーザーを有効活用することで我々の生活はより豊かなものとなっていくものと推察される。
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このほか、イベントなどの演出から、金属加工、医療でのレーザーメス、軍事兵器に至るまでレーザーは使用されているのだ。我々の生活の多くはレーザー技術の恩恵にあずかっている。
■レーザーの誕生
レーザーはどのようにして生まれたのだろうか。どのような技術を使っているのだろうか。簡単にまとめてみた。
●世界初のレーザー
レーザーは1950年、米国の物理学者チャールズ・タウンズ氏により原理が発見された。同氏は1964年、メーザー、レーザーの発見および量子エレクトロニクスの基礎的研究によりノーベル物理学賞を受賞している。
●レーザーってなに?
レーザーは人工的に作られた強力な光のことだ。そもそも「レーザー」という名称は「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(輻射の誘導放出による光増幅)」の頭文字をとったものだ。
レーザーと普通の光との違いはコヒーレントという性質にある。すなわち、レーザーは下記の3つの性質を持った光なのだ。
・単一の波長による単色性
・同位相による干渉性
・光が集中して拡散しない指光性
小学校の理科で光の性質を学ぶとき、プリズムを使用した覚えはないだろうか。太陽の光はプリズムを通すことにより虹色の光に分けることができた。レーザーはこのうちの1色のみを取り出して増幅したものだ。さらに太陽光はあらゆる方向に拡散するが、レーザーは1点に絞り込まれた光で理論的には拡散することがない。
●レーザーの原理
世の中にあるすべての物質は原子から作られており、原子がいくつか集まって分子を構成している。この分子に光を放射すると、その光が持っているエネルギーを分子に貯めることができる。このようにして活発な分子の状態に変化させた状態を「励起状態」と呼んでいる。
逆に励起状態の分子に対し、ある特定の光で刺激を与えると、分子はその光と全く同じ波長を持つ光を照射した光と同じ方向に同位相で放出する特性がある。
そこで一方向の光だけが出てくる筒を作り、この筒の両側に鏡を取り付け、片方の鏡はごくわずかに光が漏れる程度に反射面を薄くしておくと、そこから一部の光を外部に取り出すことでレーザー光が得られる。
■レーザーの多種多様な活用例
レーザーの技術はオーディオや医療、軍事などさまざまな分野で利用されている。
●オーディオ機器
映画やテレビ番組のDVDは波長が650ナノmの赤色レーザーを使用して映像や音声を再生するためのデータを読み込んでいる。
ハイビジョン番組の録画で話題のブルーレイは波長が405ナノmの青色レーザーを使用している。青色レーザーは赤色レーザーに比べて高密度であるため、メディアに照射されるビームスポットも高密度となり、限られたメディアの大きさに多くの情報を書き込むことができる。
●医療用レーザー
美容外科や形成外科ではシミやソバカス、ホクロなどの治療ではNd-YAGレーザーやルビーレーザーを使用する。
米国の有名なゴルファーが受けたことで有名になった近視矯正手術では、角膜を削るのに紫外線レーザーの一種であるエキシマレーザーが使用されている。
●対空レーザー兵器
レーザーはミサイルなどで目標を補足する装置として使用されることもあるが、レーザーそのものを新兵器として使用する技術がすでに開発されている。米国とイスラエルは1995年、高エネルギーレーザーの共同開発計画に合意し、「戦術高エネルギー・レーザー」を共同で開発中だ。
「戦術高エネルギー・レーザー」は、短距離ミサイルや巡航ミサイルなどを撃破するための兵器。ビームの直径は数cmしかないが、180m以上先に置いた鋼鉄の板を溶融させるほどの威力を備えている。
■レーザーはどこに向かうのか
レーザーはさまざまな分野で活用されているが、今後はどのような方向に向かっていくのだろうか。最近、実現されたレーザーの使用例をいくつかみてみよう。
●レーザーキーボード
レーザーはパソコンの世界を変えるかもしれない。
そのひとつが加賀電子から販売されている「バーチャルキーボード」だ。「バーチャルキーボード」はユニットから照射される半導体レーザーにより、机や壁にキーボードのパターンを投影する。キーのタッチ感は得られないが、投影されたキーに指を触れると、ユニットのセンサーが指の動きを検出し、そのキーが押されるという仕組みだ。
・バーチャルキーボード - 加賀電子
●レーザーテレビ
レーザーは強い光であることから、映像の世界を変える技術として注目されている。
レーザーテレビは三菱電機が2006年に発表した次世代テレビ。光源に赤色と緑色、青色の3色のレーザーを使用したテレビだ。通常の液晶テレビに比べて約2倍の色再現範囲により美しい映像を楽しむことができる。
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●レーザーによる核融合燃焼反応
レーザーは巨大なエネルギーを生み出す動力源としても注目されている。レーザーパルスで摂氏1億度の熱を生み出し、水素燃料ペレットの大きさを30分の1まで圧縮させると、照射したレーザーよりも多くのエネルギーが発生する核融合燃焼反応がおきるというものだ。
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ここでとりあげた内容はレーザーを活用したごく一部の例に過ぎないが、レーザーを有効活用することで我々の生活はより豊かなものとなっていくものと推察される。
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