昨季2006-07シーズン、セリエAは名門ユベントスの不在、スタジアムの老朽化、止まない暴力事件などの影響で、一昨季から年間観客数が108万人も減少した。解決すべき問題は多々あるものの、ファン再獲得を狙う各クラブは、すでに来季の年間シート販売キャンペーンを開始した。

 最も精力的なのは王者インテル。87500人の収容人数を誇るホーム「サン・シーロ」をミランと共有しているが、5月21日から今月15日まで最初のキャンペーンを展開中だ。料金は145ユーロ〜5000ユーロ(約2万3000円〜80万円)。スクデットを獲ったチームの年間シート予約数は、翌シーズンに飛躍的にアップするのが慣例となっているが、今回は前売特典としてチャンピオンズ・リーグ予選グループ戦でのチケット優先予約権がついてくることもあり、すでに17272席分が売れている。

 欧州王者ミランのキャンペーンは今月7日からで、まだ2600席ほどしか売れていないが、年間シート大人1席を購入すると、ファミリー特典として4親等以内・14歳以下の親戚1人分が無料でついてくる。料金は130ユーロ〜3650ユーロ(約21000円〜58万円)。

 ミラノ勢の他には、奇跡の残留を果たした南伊の田舎チーム、レッジーナの熱狂ぶりが目立つ。ホーム「オレステ・グラニッロ」の収容人数は27454人分しかないが、約6000人がすでに昨季の年間シート契約を延長した。

 ローマ勢をはじめ、セリエAに復帰するユベントスやナポリ、ジェノアはまだ年間シート販売キャンペーンを開始していない。だがいずれも大都市を本拠地にしており、多数のサポーターを抱える。誰もが渇望する“満員のスタジアム”。これらビッグクラブが、今夏どのようなキャンペーン策を打ち出してくるか注目される。

弓削高志