伊紙上で、かつての名監督アリーゴ・サッキ氏がプレミア・チームへ今夏移籍市場での“お買い物”アドバイスを送っている。前回の拙稿では「チェルシーへMFピルロ(ミラン)獲得進言」を紹介したが、今回は他の有力チーム編だ。

「サー・ファーガソン(監督)のマンチェスターUはつねに若い才能に目を配り、それが今季きちんと花を咲かせた。ルーニーやクリスティアーノ・ロナウドなどタレントを機能させ、プレミアで優勝、CLではベスト4、そしてFAカップでも決勝進出。今シーズンの戦績は素晴らしいの一語に尽きる。
しかし、攻守に優れた右SBが欲しいところだ。ザンブロッタ(バルセロナ)を推すね」

 とにかく監督という人種は、同業者のやることに一言口を挟まなければ気が済まないらしい。

「リバプールのベニテス(監督)は、もはや“マエストロ(=名人)”と呼んで差し支えない。あの戦力でつねに欧州の舞台で主役を張り続けられるのだからね。だが、クラブは今のチーム・スピリッツを失うことなく技術クオリティを高める補強を進めるべきだ。
リバプールには、どんな状況でも信頼でき、チャンスに結果を出す強力なFWが足りない。クレスポ(インテル)などはどうだろう?」

 前回触れたMFピルロはミランと蜜月状態にあり、現在はバルセロナに籍を置くSBザンブロッタも来季からミランでイタリア復帰が囁かれている。FWクレスポに至っては、チェルシーからインテルへの再移籍契約が成立した後、家族全員で喜び「引退までインテルでプレーする」とまで言い切っている。サッキ氏の“お買い物アドバイス”は、可能性がゼロに近いことを承知の上で、ほとんど戦力交流のないイングランドとイタリア間の選手取引を進言し、欧州サッカー全体の活性化を狙っているのだ。
 それにしても、かつての名将の言とはいえ、モウリーニョやファーガソン、ベニテスといった、それぞれ強烈な性格を持ちプライドの高い一線級監督たちがサッキのアドバイスに「はい、そうですか」とあっさり同意するわけがない。
 それでも、ロンドンやマンチェスターの下町界隈のパブで、地元サッカー・ファンに聞いてみたい。
「セリエAの選手いらない?」

弓削高志