「チェルシーにはピルロが必要で、マンチェスターUにお薦めはザンブロッタ、リバプールはクレスポを買いなさい」

 居酒屋やパブで、夜な夜な繰り広げるサッカー談義は楽しいものだ。この時期、来季へ向けた選手補強がファンの話のネタになっていることだろう。ただ冒頭の台詞が世界有数の監督による進言だとしたら…。

 かつてミランを率い、クラブ世界一の座に2度も就いたアリーゴ・サッキ元監督が、伊紙「ガゼッタ・デッロ・スポルト」紙の企画で、イングランド・チームに「セリエAから選手を買いなさい」と仰天の移籍市場アドバイスを送っている。

「チェルシーのモウリーニョは素晴らしい監督だとは思う。エッシェン、マケレレなど驚異的なスタミナを持つ中盤によって支えられた4−3−3でこれまで結果を出してきた。
しかし(オーナーによる豪華補強のあおりで今季強いられた)バラック−シェフチェンコ−ドログバによる3トップなど、しょせん布陣図の上だけの夢物語にすぎん。
それでも4−3−1−2で来季も戦うのなら、中央でゲームのリズムをコントロールできるテクニシャンが必要だ。その点でピルロ(ミラン)を獲得することを進言するね」

 熱狂的なミラニスタ(=ミラン・ファン)たちが聞いたら発狂しそうなサッキ氏のコメントだが、これはかつて指揮したミランが今季CLを制したことから来る余裕の発言ともとれる。そのCLベスト4に3チームを送り込み、現在栄華の頂点にあるといわれるプレミア・リーグ。英ポンド高の影響もあり、その豊潤な資金力を下地にした、サッキ氏の奔放な“お買い物アドバイス”はなおも止まらない。【続く】

弓削高志