「元本保証が一番安心」と、退職金「1000万円」をすべて定期預金に預けようとする妻。10年後の資産額は、投資信託で運用した場合と比べて、どれくらい差が出るのでしょうか?
定期預金と投資信託、それぞれの特徴とは?
定期預金は、あらかじめ決められた期間お金を預けることで利息を受け取れる金融商品です。元本保証があり、預金保険制度の対象となる範囲であれば預けたお金が保護されるため、安全性の高さが大きな特徴です。一方で、金利は比較的低く、大きく資産を増やすことは期待しにくい傾向があります。
一方、投資信託は多くの投資家から集めた資金を、運用会社が株式や債券などに分散投資する商品です。価格は日々変動するため元本保証はありませんが、運用が順調に進めば預金より高いリターンが期待できます。
1000万円を10年間運用すると資産額はどれくらい変わる?
今回のシミュレーションでは、次の条件で比較します。
・定期預金:年0.9%(10年定期)
・投資信託:年利3%で10年間運用
・元本:1000万円
なお、投資信託の年利3%はあくまでシミュレーション上の想定であり、実際の運用成果を保証するものではありません。
まず、1000万円を年0.9%の定期預金に10年間預けると、複利計算では約1090万円になり、増える金額は約90万円です。ただし、実際には利息に約20%の税金がかかるため、受け取れる金額はこれより少なくなります。
一方、投資信託で年3%の複利運用が続いた場合、10年後の資産額は約1344万円になり、元本1000万円に対して約344万円増える計算です。
つまり、今回の条件では定期預金が約1090万円、投資信託が約1344万円となり、約254万円の差が生まれる結果となりました。
もちろん、投資信託は預金とは異なり、市場環境によって基準価額が上下します。運用成績が想定を下回れば、資産額が元本を下回る可能性もあります。一方で、長期で分散投資を続けることで、価格変動の影響を抑えながら資産形成を目指せる点は大きな特徴です。
投資信託を始めるならNISAの活用も検討したい
投資信託を購入する場合は、NISA(少額投資非課税制度)の活用も選択肢のひとつです。通常、投資信託の運用で得た利益や分配金には約20%の税金がかかりますが、NISA口座で一定の条件を満たして運用した場合は非課税となります。
2024年から始まったNISAの新制度では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を合わせて年間360万円まで投資でき、生涯の非課税保有限度額は1800万円です。また、非課税で保有できる期間に制限がないため、長期的な資産形成に利用しやすい制度となっています。
ただし、NISAは投資であるため元本は保証されず、市場環境によって資産額が変動する点には注意が必要です。投資信託で資産運用を始める際は、制度の仕組みもあわせて確認しておくとよいでしょう。
退職金は「安心」と「資産を増やす可能性」のバランスが重要
今回のシミュレーションでは、年3%で運用できた場合、投資信託は定期預金より約250万円多く資産が増える結果となりました。ただし、この差は一定の運用成果が得られた場合の試算であり、実際には市場環境によって結果は変わります。
一方、定期預金は資産が大きく増えることは期待しにくいものの、元本保証という安心感があります。そのため、退職金をすべて預金や投資に回すのではなく、生活費や急な支出に備える資金は安全性の高い預金で確保し、長期間使う予定のない資金を投資信託で運用するといった方法も有力な選択肢です。
退職金は老後の生活を支える重要な資産です。資産を守ることだけでなく、物価上昇への備えも考慮しながら、自分たちのライフプランやリスク許容度に合った資産運用を検討することが大切でしょう。
出典
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

