【現地発】5度目の挑戦でまたも敗退…日本が“鬼門の決勝T1回戦”を越えるために何が必要か ブラジルが突き付けた“シンプルがゆえの難題”【W杯】

写真拡大 (全3枚)

ブラジルは途中出場のマルティネッリのゴールで日本を退けた(C)Getty Images

 ”史上最強”の呼び声が高かった北中米ワールドカップ(W杯)の日本代表。実際、2022年カタールW杯でドイツ・スペインを撃破して以降の快進撃は凄まじいものがあった。

【動画】ブラジルの牙城を崩した佐野海舟のゴールをチェック

 この3年半には親善試合ながらドイツ、ブラジル、イングランドを撃破。アジア最終予選も無敗で突破し、三笘薫や鎌田大地のように最高峰のイングランド・プレミアリーグで活躍する選手も増えた。

 しかしながら、現地時間6月29日の決勝トーナメント1回戦・ブラジル戦(ヒューストン)では、佐野海舟の見事な先制弾で1点をリードして前半を折り返したものの、後半からギアを上げてきたブラジルに追い上げられた。

 守護神・鈴木彩艶を中心にしぶとく粘り強く守ったが、相手が対角線上のポケット目がけてクロスを蹴り込んでくる中、56分にカゼミーロに同点弾を奪われる。そこからさらに劣勢に陥り、終了1分前に田中碧がボールを奪われたところからガブリエウ・マルティネッリの一撃を食らい、奈落の底に突き落とされた。

 結局、日本はまたも決勝トーナメント1回戦で敗退。2002年日韓W杯で初めてグループリーグを突破して以降、2010年南アフリカ、2018年ロシア、2022年カタール、そして今回と5回もこのステージで跳ね返されている。ここから先に勝ち上がれないのはなぜなのか……。森保一監督も選手たちも明確な回答はまだ得られてはいない状況と言っていい。

 こうした中、鎌田がこんな発言をしていた。

「W杯の4試合目というのは、ベスト32だろうが、前のベスト16だろうが、基本的にトップ10のチームに勝たないと次には進めない。自分たちがそこを乗り越えられていないのは、シンプルに力不足かなと。選手たちがもっと本当に実力をつけていかないといけないと思います」

 確かに過去を振り返ってみても、2018年のベルギー、前回のクロアチア、今回のブラジルはトップ10に入る強豪国だった。今大会から出場国が48か国に増え、ラウンド32の他のカードを見ると、イングランド対コンゴ民主共和国、アルゼンチン対カーボベルデのような実力差のありそうな対戦もあるが、やはり鎌田が言うようにトップ10の国に勝てるだけの準備をしておかなければ、同じような結末を繰り返すことになってしまう。そこは改めて強く認識しておくべきだ。

あるいは久保が出場できる状態であれば、“切り札”を取っておけたかもしれない(C)Getty Images

 グループリーグの疲労、ケガ人、出場停止などが重なるかもしれない決勝トーナメントは、やはり想像以上の選手層が必要になる。森保監督はそのことをカタールW杯で痛感し、3年半がかりで欧州で活躍するタレントを抜擢し、多彩な組み合わせで戦えるように仕向けてきたが、今大会直前になってケガ人が続出。使える戦力が減ってしまった。それは大きな足かせになったと言わざるを得ない。「南野、三笘、久保(建英)のケガ? それがチームの戦いに影響したのは事実かなと思います」と森保監督はブラジル戦後の会見で神妙な面持ちで語っていた。

 この3人がいれば、伊東純也や中村敬斗をジョーカーに回せただろうし、後半に苦しくなった状況でギアを上げることができたはずだった。もちろん出てきた鈴木淳之介や菅原由勢、町野修斗も悪くはなかったが、王国から流れを引き戻すようなアクションを起こせたかというと、そうとは言い切れないものがあった。

 初戦・オランダ戦(ダラス)の左ひざの負傷で最終的に復帰が叶わなかった久保も「個人的にはすごく申し訳ないなと思います。大事な時に僕がいたら、何か変えれたとかそういうことを言うつもりはないですけど、今まで僕のことを信じてくれたいろんな人たちに申し訳ないなと思います」と唇をかんだ。

 ブラジルの方もハフィーニャなど複数人のケガ人がいたが、それでも途中からピッチに立つ選手たちがギアを上げていた。つまり無尽蔵の選手層を築き上げなければ、日本は優勝はおろか、トーナメントも勝ち上がれないということになる。

 そういう日本代表を作るのは本当に至難の業。少子化が進む中、タレント育成も難しくなる一方だ。それでも上田綺世が「これから出てくる若い世代も欧州にどんどん出て、ステップアップして、日本人が当たり前のように欧州で活躍しているという状態が作れれば、自ずと日本代表のレベルも上がる」と話すように、欧州で階段を駆け上がっていく若手が次々と出てくれば、2030年以降に希望が見えてくるかもしれない。

 そういう強い日本代表が生まれ、今度こそ決勝トーナメント1回戦を突破する日が訪れるのはいつなのか。我々はそれが現実になるのを信じて見続けるしかないのだ。

[取材·文:元川悦子]