2012年に開催されるロンドン・オリンピックで、サッカーのイギリス代表チームが結成される可能性が浮上した。

 イギリスでは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドと、4つのサッカー協会が存在しており、それぞれ独自の代表チームでワールドカップや欧州選手権などの国際大会にエントリーしている。一方、23歳以下の代表チームが出場するオリンピックについては、前述の4協会ともに、予選を兼ねるU−21欧州選手権にはエントリーしているが、出場権を獲得した場合でも、辞退することが通例となっている。

 しかし、自国開催のオリンピックに向けて、代表チームの結成を望む声も少なくない。そして、12日に4協会の監督が集まった共同記者会見が開かれると、イギリス代表の実現に向けて、3人の監督が肯定的な意見を述べた。

 イングランド代表のスティーブ・マクラーレン監督は、「非常に興味深い。オリンピックに出場することは、各協会にとってもメリットが大きいはず。私は全面的に賛成する」とコメント。さらに、スコットランド代表のウォルター・スミス監督も、「問題は山積みだろうが、個人的にはいいアイデアだと思う。アスリートにとって、国を代表してオリンピックに出場するのは特別なことだ」と実現に前向き。そして、北アイルランド代表のローリー・サンチェス監督は、「北アイルランドのようなチームにとっては、失うものより、得るものの方が多い。それに、ロンドンで開催するオリンピックで、サッカーの代表チームが出場しないなんてバカげているではないか」と、代表チームの結成を歓迎した。

 しかし、ウェールズ代表のジョン・トシャックだけは、慎重な発言に終始している。


「我々にとっては、簡単に賛成できることではない。私はつねに自分をウェールズ人だと考えてきたから…。全面的に反対したいわけではないが、プロのレベルで実現するには問題があるのではないだろうか。十分な時間を費やして、慎重に考えるべきだと思う」

 1912年のストックホルム・オリンピックでは、金メダルを獲得しているイギリス代表。歴史的な背景から、実現に向けて解決すべき問題は少なくない。しかし、100年ぶりの栄光を目ざし、「ホームネーションズ」と呼ばれる4協会がタッグを組む可能性もゼロではなさそうだ。