【マイルCS/追い切り診断】“打倒ブレイディヴェーグ”一角に最高評価「S」 圧巻の加速に「これ以上ない最高潮の状態」
第41回マイルチャンピオンシップ(17日/GI、京都芝1600m)には、連覇を目指すナミュール、昨年2着で悲願のGIタイトルを狙うソウルラッシュ、欧州トップマイラーのチャリンなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ソウルラッシュ」を取り上げる。
■ソウルラッシュ
【中間調整】マイルCSは2022年が4着、昨年はクビ差2着。今年前半はマイラーズC勝ち、安田記念3着とこの路線での堅実さが光る。秋初戦の富士Sは1番人気2着に終わったが、斤量58キロ、そしてレース当週の追い切りを坂路15-15で済ませたように、明らかに先を見据えた仕上げだったことを考えれば悪くない走りだった。6歳秋にして衰えはない。
中3週でマイルCSへ進むのは予定通り。昨年同様にミニ放牧を挟み、10月30日に栗東へ戻っている。当初は坂路調整で心肺を整えてやり、1週前追いは団野騎手が騎乗しオープン馬ウェルカムニュースを外からマクるハードな内容。仕掛けに鋭い反応を示し、一気に抜け出すと5馬身の先着としている。
【最終追い切り】レース当週は坂路で微調整。1週前にCW併せ馬で負荷を掛け、最終追いが坂路というのは過去2年マイルCS時の調整におけるルーティンで、今年もそれをきっちりと踏襲してきた。形としては単走だが、同じ池江厩舎の馬を大きく前に行かせ、これを視界に入れて気持ちを乗せる調整。僚馬を前に見ても変に力まず、まとまりのあるフォームで登坂すると、手綱を緩められたラストで一気に加速した。
【見解】常に稽古で良く見せる馬だが、上述通り前走時がかなり余裕を持たせた調整過程だっただけに今回の攻め気配はひと際目立つ。上昇度は相当ありそう。1週前追いで言えば前走時がCWラスト1F10秒7、今回はラスト1F10秒8で時計だけ見れば前回のほうが速いのだが、今回は余計に大きく外を回してのものでその価値は高い。最終追いの坂路ラスト2Fも馬なりで13秒0-11秒9と圧巻の加速ぶり。これ以上は望めない最高潮の状態にある。昨年のマイルCS、そして香港マイルや安田記念と常に先着を許してきたナミュールとまた対戦となるが、今回こちらは秋に1回使われたアドバンテージがある。これが3回目のマイルCS参戦。“三度目の正直”での悲願GI勝ちに期待したい。
総合評価「S」
著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。