15日の債券市場で、先物中心限月12月限は続落した。外国為替市場でドル円相場が一時1ドル=156円70銭台まで円安に振れたことを受け、日銀による追加利上げの観測が広がり、債券売りを促した。この日、財務省が実施した5年債入札の結果発表後に先物は一段安となった。もっとも入札結果自体は無難と受け止める向きが多く、押し目買いで下げ渋る動きもみせた。

 5年債入札は応札倍率が3.81倍と前回入札の3.73倍を上回った。小さければ小さいほど好調とされるテール(平均落札価格と最低落札価格の差)は2錢と、前回の3銭から縮小した。今回は新発の第174回債の発行で、クーポンは0.700%と前回の0.600%から切り上がっていた。最低落札価格は市場のコンセンサスの範囲内にとどまったことから、無難な結果とみなされた。

 今回の入札を巡っては、追加利上げ観測が台頭し金利に上昇(債券価格に下落)圧力が掛かっているとして、含み損を回避しようと応札を控える動きが広がることが一部で警戒されていたようだ。入札結果公表後も、需給面での安心感が支えになることはなく、日銀の追加利上げシナリオが意識され、先物は一時142円71銭まで下げた。

 内閣府が15日発表した7~9月期の実質国内生産(GDP)は年率換算で前期比プラス0.9%となった。2四半期連続のプラス成長で市場予想を上回り、堅調な国内景気のなかで日銀が追加利上げに踏み切りやすくなるとの見方が出た。

 先物12月限は前営業日比16銭安142円82銭で取引を終えた。新発10年債利回り(長期金利)は同0.015ポイント高い1.070%で推移。一時1.080%をつける場面があった。


出所:MINKABU PRESS