帯広南商が4年ぶり春高に王手…前回全国4強の旭川実をフルセットの末撃破…バレーボール全日本高校選手権道代表決定戦
◆バレーボール◇全日本高校選手権道代表決定戦 ▽準々決勝 帯広南商2−1旭川実(13日・北海きたえーる)
男女3回戦、準々決勝を行い4強が出そろった。女子の帯広南商はフルセットの熱戦を制し、前回の春高で全国4強まで進んだ旭川実を撃破。一時は部員が6人になる危機を乗り越え、4年ぶりの春高切符に王手をかけた。男子では今夏の全道大会を制し初めてインターハイに出場した札幌大谷が、創部5年目で初の春高出場へ順当に準決勝進出。春高の代表権(男女各2校)を懸けた準決勝、決勝は22日に行われる。
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最後の1点をもぎ取ると、両腕を突き上げ帯広南商の選手たちは喜びを爆発させた。抱き合いながら、自然と涙がこぼれる。前回の春高全国4強の強豪・旭川実をフルセットの末に破り、OH山家(やんべ)すず(3年)は「普段通りの自分たちじゃ勝てないと言われていた。普段以上の自分たちを発揮できてよかった。正直勝つと思っていなかった」と号泣した。
一時は存続すら危ぶまれた。現3年生が1年生だった約2年前、2月の新人戦は1年生4人、2年生2人の部員6人で出場。結果的には再任用された冨田誠治監督(63)が定年退職する見込みだったため、スカウティングを打ち切っていた世代だった。34年間、帯広南商を指導する指揮官が「一番弱い」と評するチーム。「人間的に負けるなと言い聞かせました。でも、よく指導者はそういうこと言うんだけど、うまくいくことまずないの。それを実現するっていうのは、俺はこのチームから一番学んだね」と目を細めた。
夏の全道大会では決勝トーナメント1回戦で敗退。変化を求めて、同校では初出場となった皇后杯では都道府県ラウンドを準優勝で突破し、ブロックラウンドに駒を進めた。飛躍のきっかけをつかんだが、いずれも敗れたのは準決勝の相手となる旭川志峯だった。山家は「1回も勝ててない志峯に勝ちたいと思います。もうちょっと修正すれば、食らいつけていた。これから詰めていきたい」。運命の準決勝は22日。もう1つ壁を乗り越え、全国への切符をつかむ。(山口 泰史)
〇…女子・札幌山の手は準々決勝で岩見沢緑陵に2−0。高さを生かした攻撃力を武器に、圧倒的な強さを見せつけ4強進出。その攻撃陣を支えるリベロの小西杏奈主将(3年)は「試合の最初から自分たちの力を出せた」と振り返った。前回の春高で旭川実を全国4強へ導いたU―19女子日本代表でエースの笠井季璃主将(現クインシーズ刈谷)は、別海中央中の1年先輩で親がいとこ同士のはとこ。まずは全国切符をつかみ、「チームを引っ張る姿にあこがれています」という笠井と同じ舞台に立つ。
〇…男子・札幌大谷は準々決勝で札幌啓北商に2−0。創部5年目で夏の全道大会を初制覇したチームが、順当に準決勝進出。3回戦の恵庭南戦は接戦となったが、三原隆佑監督(34)は「1試合目(3回戦)がヤマかなと思っていた。フルセットも覚悟していたところを、ストレートで勝ち切れた。力がついてきた感触はあります」と手応えを口にした。3度目のベスト4進出だが、春高出場はなし。「三度目の正直ということで」とあと1つに迫った初出場へ、意気込んでいた。