スポニチ

写真拡大

 フリーエージェント(FA)権行使の申請期間が13日で終了し、有資格者111選手のうち9選手が手続きを行った。ヤクルトはソフトバンク・石川柊太投手(32)、楽天・茂木栄五郎内野手(30)の両選手の獲得に乗り出す方針を固めた。FA市場でダブル獲得に成功すれば、球団として14年以来10年ぶり2度目となる。申請した選手はきょう14日にFA宣言選手として公示され、15日から全球団と交渉可能となる。

 5位からの巻き返しに向け、ヤクルトがFA市場に打って出る。急務なのが投手陣の整備。今季のチーム防御率3・64はリーグワーストで、2桁勝利した投手はいなかった。補強ポイントに合致する存在として浮かぶのが石川だ。小川淳司GMは「参加するということになります。先発で1年間ローテーションを守っていけるだけでなく、中継ぎも両方こなせる。戦力として十分に考えられる」とその魅力を口にした。

 ドラフトでは即戦力として期待される最速160キロ右腕・中村(愛知工大)を単独1位指名できたが、未知数な部分も多い。強打者ぞろいのパ・リーグで通算56勝を挙げ、20年に最多勝&最高勝率の2冠に輝いた石川を獲得できれば大きな戦力アップが見込める。オリックスも獲得調査を進めており、補償が不要なCランクで争奪戦になる可能性はあるが、3年契約を軸にした条件を提示することが検討されている。高津監督も「投手は(課題が)浮き彫りになった。投手をしっかりしないとなかなか勝てない」と振り返った上で「新しく入ってくる力というのは非常に大きい」と強調していた。

 さらに楽天からFA宣言した茂木の獲得にも動く。長打力と勝負強さを備えた打撃と、内野の全ポジションを守れるユーティリティー性を高く評価。今季の年俸は6000万円で補償が必要なBランクながら、こちらも複数年契約を検討している。FA市場で同時に2選手を獲得すれば、14年の大引(日本ハム)、成瀬(ロッテ)以来、10年ぶり2度目。投打で弱点を補えば、リーグ連覇した21、22年以来のV奪還への機運は高まる。(重光 晋太郎)