フィリピンは「中国の侵略の犠牲者」、南シナ海巡る圧力に反発

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Peter Hobson Lewis Jackson

[キャンベラ 12日 ロイター] - フィリピンのテオドロ国防相は12日、キャンベラでマールズ豪国防相と会談した後、南シナ海での主権的権利を譲るよう迫る中国からこれまで以上に圧力を受けていると述べた。フィリピンは「中国の侵略の犠牲者」とも語り、こうした圧力に反発した。

両国防相の会談は2023年8月以来5度目。南シナ海での中国の活動に懸念を表明している豪比は安全保障上の関係を強化している。

テオドロ氏は、中国の主張と行動は国際法に反しており、オーストラリアのようなパートナーとの安保協力は中国の侵略を抑止する重要な手段だと述べた。

「彼ら(中国)は国際法の下で行動していると主張するが、彼らのやっていることが国際法の基本的な考えに反していることは誰もが知っている」と指摘。「その最大の証拠は誰も彼らの行動や活動を実際に支持していないことだ」と語った。

マールズ氏は、フィリピンの防衛産業とより緊密に協力したいと考えており、来年早々に技術評価チームをフィリピンに派遣すると表明した。

一方、中国外務省の林剣報道官は記者会見で、フィリピンが「最初に(中国の権利を)侵害」したことを受けて自国の権利を行使していると主張。「フィリピンがこれ以上侵害や挑発をしなければ、情勢がこれ以上エスカレートすることはないだろう」と述べた。

<応酬続く>

中国は10日、フィリピン南シナ海の権益を守る法律を制定したことに対抗し、スカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺の「領海」基線を定めたと発表した。

フィリピンの国家海事評議会は12日、中国による基線設定に異議を唱え、中国フィリピンの主権を侵害していると非難。「2012年の不法占拠を継続するものであり、これに強く反対し続ける」とする声明を出した。

中国共産党系紙「環球時報」は11日夜、フィリピンによる法律制定を受け、中国南シナ海でのパトロールを強化し、より長時間の巡視とより厳しい取り締まりが可能な船舶を配備したと伝えた。