通天閣“売却”の可能性はある?運営会社の社長にインタビュー「“資金繰りが”とか言われるが、おかげさまでお金は持っている」

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 大阪の観光スポット・通天閣。11月8日午前10時前、入口では、いまかいまかとオープンを待つインバウンド客らの列ができていました。押しも押されもせぬ人気ぶり。まさに“大阪の顔”ですが、そこに突如、ふってわいたのが“売却話”。

 通天閣を保有・運営する通天閣観光が、南海電鉄など複数社と株式の売却や資本提携に向けた協議を進めているというのです。

 直近の業績をみてみると、売り上げは15億円以上。利益も5億円近くあり、決して悪くありません。

 売却額や時期は決まっていませんが、通天閣観光は設備投資や地域観光の発展など中長期戦略として企業のグループに入ることを検討しているといいます。売却や資本提携の検討は、より進化や発展を目指したものだそうで、今後、急増するインバウンド客対応で入場者の管理システム導入などインフラ整備にも投資したい考えです。

 8日午前、“真相”を通天閣観光の高井隆光社長にたずねました。

―――売却の可能性はありますか?

「可能性であれば、どこの会社だってそうでしょう。いろんな可能性があるから。今のこの現状はいいとも思ってないし、通天閣や地域の発展のために何が一番いいのか、自分の会社ですから、模索している。考えている状況なだけで、何か発表できるわけではまだない」

―――名前が変わることはありますか?

通天閣通天閣ですから。このブランドを私たちが守るため、100年200年、地域の発展を含めて考えるためにやっている。(お客さんが)もっと来ていただける可能性もあるから、いろんな取捨選択を今考えている」

―――売却というような言葉を聞くと、“体力”がなくなってきたという印象も?

「体力はあるでしょう。体力ないところが設備(滑り台など)をつくらないし。一部報道で“資金繰りが”とか言われるが、おかげさまでお金は持っていますから。そこはご心配なく」

「変化を望まないなら、何もしないのが一番いいです。これだけのお客さんとこれだけの知名度があって、何の不自由もないですから。でも本当に通天閣として、コンテンツと影響力の中でこのままでいいの?と考えるのが僕の役割であり、使命かなと」

通天閣は100年200年残していく役割があります。その中で聖域なき改革をしないと。今の現状に甘んじることなく常に進化し続ける。何が一番いいのか常に追い求めていきたいと思っています」

 通天閣観光は11月8日、以下のコメントを発表。

 『この度の一部報道機関による当社に関する報道について、これは当社が公表したものではございません。 当社は、今後の事業展開を見据えた中長期戦略として、業務提携・資本提携など様々な選択肢を検討しており、多方面から頂いた様々なご提案について、可能性の一つとして継続的に協議しておりますが、現時点で決定された事実はございません。 今後、開示すべき事実を決定した場合には速やかに公表いたします』

 南海電鉄も8日に次のようにコメントを出しています。

 『本日、一部報道機関において、当社による通天閣観光株式会社の株式取得や同社との提携等に関する報道がなされておりますが、当社が発表したものではございません。本件については、可能性の1つとして継続的に協議を行っているものでありますが、現時点で決定した事実はなく、今後、公表すべき事実があれば、速やかに公表させていただきます』