「トランプ外交」どう攻略?……カギとなる“ハガティ人脈”とは 「新しいスター」マスク氏が日本の懸念材料に?
アメリカのトランプ次期大統領と早く接点を持とうと、石破首相は直接会談の機会を持とうと模索しています。8年前は安倍元首相が良好な関係を築きましたが、同じやり方が通用するとは限りません。外交交渉を進める上でカギとなる人物や懸念材料を考えます。
■トランプ新大統領との会談を模索
藤井貴彦キャスター
「トランプ次期大統領と石破首相は7日朝に電話で会談しました。来週、国際会議に出席するのに合わせてアメリカを訪問し、トランプ氏と直接会談することを模索しています。トランプ政権の攻略に向けて、とにかく早く接点を持ちたいという考えなのでしょうか」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「安倍元首相が2016年の大統領選で勝ったトランプ氏といち早く会って良い関係を築いたことが1つの成功体験になっているのは間違いありません」
「それは他の国にとっても同じことで、ある外務官僚は『世界中がトランプ氏に“会って会って”と言っている。そんな中、日本だけが乗り遅れるわけにはいかない』と打ち明けていました」
「ただ、外交関係者からは『トランプ氏が1期目の時と同じとは限らない。安倍さんの時と同じやり方で通用すると甘く見ない方がいい』という声が上がります」
「アメリカ経済に詳しいみずほリサーチ&テクノロジーズ調査部長の安井明彦さんも『これだけ大勝したトランプ氏が、自らの主張を和らげる理由はないので、慎重に見ていく必要がある』と話しています」
■巨額献金…マスク氏とトランプ氏の関係
藤井キャスター
「トランプ政権の攻略、交渉のカギはどこにあるのでしょうか?」
小栗委員長
「攻略する上で少し心配なのが、実業家のイーロン・マスク氏です。マスク氏は電気自動車(EV)会社テスラなどのトップで世界有数の大富豪ですが、トランプ氏の選挙応援にかなり力を入れました。アメリカメディアによると、約200億円もの高額な献金をしたということです」
「トランプ氏もマスク氏のことを『新しいスター』と呼んだり、新しいポストを用意するとにおわせるなど、かなり密接な関係を築いています」
「アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授は『マスク氏はトランプ氏が個人的に呼び込んだ形』と言います」
「マスク氏が政権に入った場合について小谷教授は『トランプ氏は、マスク氏のテスラは保護するが外国製EVは規制する、補助金を出さないなど、差別的な取り扱いをする可能性がある』と話します。今後さらにEV市場への参入を目論む日本にとっては懸念材料です」
■菅副総裁とのパイプが太い前駐日大使
藤井キャスター
「マスク氏はなかなか行動が読めない人のように思えます。日本にとって確かなルートは存在するのでしょうか?」
小栗委員長
「『ハガティ前駐日大使がカギとなる』と小谷教授は指摘します。ハガティ氏は2017年から約2年間駐日大使だった人で、当時安倍政権で官房長官を務めていた菅さんとパイプが太いといいます」
「ハガティ氏は今上院議員で、外交を担当する国務長官などに起用される可能性があるそうです。小谷教授は『日本としてこの“ハガティ人脈”を生かすことが大切。菅さんが今、自民党の副総裁になっていることも大きい』と話していました」
■外務省関係者「希望的・悲観的観測も」
小栗委員長
「ある外務省関係者は『これからどういう世界になるか、日本にとって希望的な観測も悲観的な観測もある。プランA・プランB・プランCと準備しておくのみだ』と話していました」
野口啓代(スポーツクライミング五輪銅・『news zero』木曜パートナー)
「今回のトランプ氏の当選で日本にどのような影響があるのか気になりますね。また良いか悪いか正直分かりませんが、日本にとってプラスになるように、良い外交関係を築いてほしいなと思います」
藤井キャスター
「今回現地で取材しましたが、80歳を迎えようとするトランプ氏は、夜中の12時を越えても2時間の演説ができるほどのタフさがあります。今回は政策が評価されたというよりも、トランプという人物に投票した人も多くいたのではないかと感じました」
「日本政府もトランプ氏と向き合うタフさが必要になるはずです。一方、(3選禁止のため)トランプ元大統領はこれ以上の再選はありません」
「4年後に世界はどう変化し、どんなアメリカ大統領が生まれるのか。日本政府は厳しい交渉で自らを鍛えつつ、4年後にも備える必要がありそうです」
(11月7日『news zero』より)