トランプ前米大統領の選挙集会で発言する実業家イーロン・マスク氏=10月27日、ニューヨーク(AFP時事)

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 【ニューヨーク時事】米大統領選でトランプ前大統領勝利の「立役者」となった実業家イーロン・マスク氏が、次期政権で影響力を発揮するとの見方が強まっている。

 マスク氏は巨額の献金で陣営を資金面で支え、激戦州の一部有権者に100万ドル(約1億5000万円)の報奨金を配布。自身が率いるX(旧ツイッター)では、偽情報を含めトランプ氏に有利となる言説を広めた。

 トランプ氏は6日未明、南部フロリダ州で行った勝利演説で、「われわれに新たなスターが誕生した。イーロンだ」と言及。5分近くにわたりマスク氏の事業などをたたえた。

 オンライン上のヘイトスピーチ(憎悪表現)を監視するNPOによると、マスク氏は今年に入り、Xに移民などに関する虚偽や誤解を招く情報を少なくとも87件投稿し、計20億回閲覧された。米メディアが行った実験では、Xのユーザーの「おすすめ」欄に表示される投稿が、中立性を強調するマスク氏の説明とは裏腹に、トランプ氏寄りの内容に偏っている疑いも浮上した。

 マスク氏は6日、Xで「ほとんどの既存メディアは国民にうそをついていた」と主張。大統領選を「歴史的接戦」と表現する主要報道機関の報道は間違いで、Xの投稿者の間ではトランプ氏は最初から最後まで優位だったとの見方を示した。

 世界一の富豪のマスク氏は、トランプ氏に無駄な政府支出を監視する新組織の設立を提案するなど、政治への関心を高めている。トランプ氏も設置に前向きで、マスク氏を組織のトップに据える意向を示した。マスク氏が経営する電気自動車(EV)大手テスラなどは規制の壁にぶつかることが多く、同氏が当局の廃止や改編を目指すのではないかと取り沙汰されている。