男女ともに都大路出場を決めた東北の選手たち(カメラ・有吉 広紀)

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◆東北高校駅伝 (7日、岩手・イーハトーブ花巻ハーフマラソンコース=男子7区間42・195キロ、女子5区間21・0975キロ)

 東北(宮城)が女子3位、男子2位に入り、各県代表を除く最上位に与えられる地区代表枠での全国高校駅伝(12月22日、京都)出場を決めた。女子は1区の男乕(おのとら)結衣(1年)が区間賞の走りでつくったリードを守り切り、男子は3区の前川竜之将(3年)がトップに立つ快走でチームを勢いづけた。なお仙台育英(宮城)が男子は6連覇、女子は4年ぶりの優勝でアベックVを飾った。

 1年生エースの果敢な走りが、21年ぶりの都大路切符をもたらした。スタートの号砲が響くと、「最初からいこうと思っていた」と東北・男乕が素早く前に出て集団を引っ張り、そのまま先頭を譲らず2位に21秒差をつける19分54秒でタスキをつないだ。「1位で渡すことができて良かった」と順位には満足も、「向かい風に負けてしまって…。(記録は)あまり良くなかった」と内容には反省。それでも後続が崩れることなくつなぎ、3位フィニッシュで東北地区枠ゲットだ。

 「(男乕は)記録は良くなかったがリードをつけて、その後の走者がペースをつくってしっかり(リードを)守る。これがうちのレースパターン」と渋谷武彦監督。五城中3年時の今年1月、全国都道府県対抗女子駅伝で8区区間賞の走りで宮城の優勝に貢献。7月の全国高校総体3000メートルにも出場した男乕の出来が、チームのカギを握っている。1年生ながら中心的存在だ。

 これまで5年に1度の記念大会時のみだった地区代表枠が、今年から男女とも毎年設けられた。増枠を生かしてつかんだ全国高校駅伝出場だ。中学時は毎年テレビ観戦していたという男乕は「すごく楽しそうに見えた。その舞台に立てるのは楽しみ」と笑顔。渋谷監督は「1区でどのくらいやれるか。度胸もあるし、面白いかな」と周囲を驚かせる走りを期待した。都大路でも仲間たちに勇気を届ける力走を見せる。

(有吉 広紀)

 【女子成績】〈1〉仙台育英(宮城)1時間10分16秒(黒子、橘、ミリアム、橘山、栗原)〈2〉青森山田(青森)1時間11分17秒(野呂、森崎、ルーシー、天内、対馬)〈3〉東北(宮城)1時間13分1秒(男乕、林、佐川、小賀坂、横山)

 後を走るチームメートの背中を押す快走だった。5位でたすきをもらった東北の3区・前川は「トップで(4区に)つなぐのは監督さんにも言われていたこと。1、2区がいい流れでもってきてくれたので自信はありました」の言葉通り、残り約1キロ付近でスタート時55秒差あった仙台育英を抜いて首位浮上。そのままたすきを渡した。後続は順位を一つ落としたが2位でゴールし、全国高校駅伝出場だ。男女同時出場は史上初。たすきを受ける前に女子の出場決定を聞いたという前川は「負けていられないと思いました」と胸を張った。

 「3区で前にいきたいと思っていた。プラン通りですね」と、前川の走りを評価した渋谷監督。だが前川本人は「区間賞に1秒届かなかった…。悔しいですね」と不満を口にした。7月の全国高校総体は5000メートルに出場。主力の一人として自覚十分だ。都大路に向けて「全員が、良かったなと思えるような走りをしたい」。県予選で走った1区でもこの日と同じ3区でも、チームのため一つでも上の順位を目指していく。

(有吉 広紀)

 【男子成績】〈1〉仙台育英(宮城)2時間6分25秒(菅野、市川、平方、鈴木、森尻、浜川、佐々木)〈2〉東北(宮城)2時間7分19秒(及川、大戸、前川、原田、市川、川端、三国)〈3〉学法石川(福島)2時間8分18秒(佐藤、梅原、斉藤、加藤、木内、保芦、川島)