社長夫人は思惑どおりに二人を破局させられたことに、とてもご機嫌だったといいます。

「その後も脅迫まがいのことをされながら、ラブホに連れ込まれる日々が続きました。もちろん、いっそのこと会社を辞めてしまおうかとは何度も何度も考えましたよ。でも社長は顔が広いので、もし僕が辞めた後に奥さんが社長に告げ口したら、この業界で仕事ができなくなるかもしれないっていう不安もあって、退職できずにいました」

◆最若手の職人が次なるターゲットに

 篠田さんは、「このままずっと奥さんに脅されながら強制的に関係を続けなくちゃいけないのか」と辟易していたものの、ある時期からぱったりと社長夫人からの誘いがなくなったそうです。

「徐々に奥さんからのLINEが少なくなっていって、いつの間にか普通の“社長夫人”と“一社員”の関係に戻れていました。奥さんはニコニコと上機嫌だったので、僕が怒らせたとかなにかヤラかしたわけではなさそう。ただ、ひとつ気になっていることはありました。僕より5歳年下でうちの会社のなかで最若手の職人が、最近かなりテンションが低いんです。真実を確認するのがこわくて本人に確かめていませんが、もしかしたら奥さんのターゲットが僕から彼に変わったのかもしれませんね(苦笑)」

 篠田さんが社長夫人から脅しの男女関係になってしまったきっかけは、身から出た錆なのであまり同情はできませんが、近ごろ元気がないという若手職人さんが社長夫人の餌食になっていないことを祈るばかりです。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi