Soloは普段バイクに興味をもっていない層に向けたチャレンジ!

バイクファンならばひと目でスーパーカブのエンジン、そんなイメージができるはず。
20年くらい前の東京モーターショーに、参考出品されてたかも知れない……確かにコンセプトモデルに見えてしまうこのSolo、実は2003年3月に発表になって販売されていたモデルなのだ。

このSoloは日常の移動手段としてだけでなく、ライフスタイルのファッションアイテムとしても持つ喜びと乗る喜びの両方を満喫できるバイクとして開発されたという。
エンジンは低燃費で環境性能に優れた、スーパーカブ系空冷4ストローク50ccエンジンを搭載、チェンジペダルを踏むだけで初心者でもクラッチなしにギヤチェンジできる操作の簡単な自動遠心クラッチもスーパーカブゆずり。

デザインは乗る人の個性を引き立てるシンプルなフォルムで、ちょっとレトロな新しさも漂う感性にまとめられている。
これは2001年から市販化がはじまった、Nプロジェクトの第4弾モデル。
1980年代の一大バイクブームが過ぎ去った国内マーケットで、需要の落ち込みに歯止めがかからない状況に対し、もっと若者のライフスタイルに溶け込めるバイクを模索しようと、社内有志がきっかけとなりスタートしたNew(新しい模索)プロジェクトの一環だった。

カラーリングは、マットフラットシルバーメタリック、モンツァレッド、パロットイエローのスタンダード3色。
そしてタンク、フレーム、シート等を組み合わせることにより、何と全285通りのカラーオーダープランを設定していた。

Nプロジェクトは他に4モデルを市販化をしていた……

Soloは象徴的な街並みとして東京は原宿の若者をターゲットに企画検討が進められ、若いエンジニアやデザイナーで自由な発想をカタチにしていった。
古典的なサドルだったり、色合いをバイク然としないジャンルから引っ張ってきたりと、オーダーメイドまで可能にした、これまでにない個性の集合体を製品化するところまで漕ぎ着けたのだ。

このNプロジェクト、2001年の左上Ape(エイプ)の遊べる模索にはじまり、第2弾のZOOMER(ズ―マー)の股下に荷物を積めたり、第3弾はBite(バイト)という自転車感覚でシートを簡単に上下できてボードのように立った姿勢でも走れる気の向くままを大切にする試みを具現化していた。
最後に2004年の6月に発売となった第5弾では、250ccスクーターの車格で大きな荷物の搭載に便利で街中のタンデムもしやすく、そのタンデムシートを跳ね上げて背もたれにできる自由な発想で乗るといった、これまでありそうで実現には取り組まなかった新たな展開をみせていた。

ただ国内2輪需要の低迷に対し、東南アジアから南米やアフリカなど、旺盛な経済発展と共に2輪の世界需要の大きな変化のうねりに、こうしたチャレンジが呑み込まれてしまったのは残念でならない。
モンキーやダックスなど、社内のアイデアコンテストの線上から生まれたモデルもあるのがホンダらしさのひとつ。
そのオリジナリティを尊ぶフィロソフィを失わずにいて欲しいと思う。

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