再審開始が確定したことを父、礼三さんに報告する前川彰司さん(左)=29日午前、福井市(代表撮影)

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 1986年に福井市で中学3年の女子生徒=当時(15)=が殺害された事件で、殺人罪が確定し服役した前川彰司さん(59)は29日、同市内の実家で父礼三さん(91)に再審開始が確定したことを報告した。

 礼三さんは報道陣の取材に、事件発生からの38年間を涙ながらに振り返り、「とにかく無罪判決が早く欲しい」と語った。

 前川さんが「検察が(異議申し立てを)断念した。再審開始確定や」と伝えると、礼三さんは「よかったな。ほっとした」と声を震わせた。

 前川さんは一審で無罪判決が言い渡されたが、二審での逆転有罪判決が最高裁で確定。服役後の第1次再審請求で出た再審開始決定は検察側の異議申し立てで取り消された。ようやく再審が決まったことに、礼三さんは「長過ぎた。人をばかにしている」と涙を拭った。

 礼三さんは「目の黒いうちに無罪判決を聞きたい。今の願い事はそれだけ」と強調。前川さんは「無罪に向かっていくだけ。(父には)それまで長生きしてほしい」と話した。

 再審開始の決め手となった証拠開示について、前川さんは「他の再審事件や冤罪(えんざい)事件に与える影響はかなりあると思う。希望を持ってほしい」と述べた。