梨泰院雑踏事故から2年 韓国国会が追悼祭を実施 159人の犠牲者を哀悼「真相究明に最善を尽くす」と誓い
韓国のソウル・梨泰院(イテウォン)で発生した雑踏事故から、29日で2年が経った。韓国の国会議長と与野党指導部は、国会議員会館で追悼祭を行い、犠牲者を哀悼するとともに、再発防止と真相究明を誓ったと、韓国メディアの聯合ニュースが伝えた。国会が社会的災害に対して、追悼祭を公式に主催するのは、今回が初めてとなる。
2022年10月29日、ソウルの繁華街として知られる梨泰院では、ハロウィーンイベントを楽しもうと、多くの人々が街へ足を運んでいた。そんな中、狭い傾斜のある道路で、行き交う人々がひしめき合い、身動きが取れない状態に。ほどなくして群衆雪崩が発生し、わずか1時間で159人もの命が奪われた。犠牲者の一人には、2017年に「PRODUCE101 シーズン2」に参加した俳優のイ・ジハン(当時24歳)さんがおり、韓国芸能界にも大きな衝撃を与えた。
追悼祭には与野党議員60余人と、犠牲者遺族120余人が参加。会場の壁面には「私たちには、はまだ覚えておくべき名前があります。159人の星を忘れません」という一文とともに、犠牲者の写真が飾られた。
ウ・ウォンシク国会議長は、あいさつで「国家の責任が、不在の時間でした。途方もない悲しみと苦痛を、全身で体験した遺族と被害者へ、大韓民国国会を代表して謝罪いたします」と頭を下げた。
また、先月発足した惨事特別調査委員会(特調委)について「隠ぺいや歪曲、遅延、妨害なく、特調委が責任を果たすことができるよう最善を尽くし、国会が役割を果たし、真実が明らかになる道に進むでしょう」と強調した。
「国民の力」チュ・ギョンホ党首は「二度とこのような惨事が起きないよう、約束します」「当然だと信じていた日常を疑わせたあの日の惨事を、私たちは皆忘れません」と伝えた。
「共に民主党」のパク・チャンデ党首は「国家はなぜこの事故を防ぐことができなかったのか。事故発生以降の対応は、なぜうまくいかなかったのか。なぜ誰も責任を取らないのか。国家は何のために存在しているのだ」と指摘。そして「特調委任命は遅れ、予算と人材支援はまだまだ遠い」「特調委がしっかり運営されるよう、国会が力を結集しなければならない。惨事の悲しみを前に、政治的有利不利はありえない」と訴えた。
「革新革新党」のチョン・ハラム党首は、「今日、ユン・ソギョル大統領に改めて要請したい。今からでも、イ・サンミン行政安全部長官を更迭し、責任者へ適時責任を問わなかったことについて、遺族と国民の前で謙虚に謝罪せよと」と求めた。
(よろず~ニュース・椎 美雪)