巨人からドラフト1位指名のあいさつを受け、写真撮影に応じる花咲徳栄高の石塚(カメラ・相川 和寛)

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 巨人からドラフト1位指名を受けた、埼玉・花咲徳栄の石塚裕惺(ゆうせい)内野手(18)が25日、2000安打達成を将来の目標に掲げた。西武との競合で交渉権を獲得したドラフト会議から一夜明け、埼玉・加須市の同校で吉村執行役員編成本部長、水野スカウト部長らが金の卵に指名あいさつ。金字塔へ1年目からの活躍を誓うスター候補生は、坂本らのように高卒ドラ1の出世ロードを進んでいく。

 大志を抱き、歩んでいく。ドラフト1位指名から一夜明け。指名あいさつを受けた石塚は将来の目標を堂々と口にした。「いずれは2000本安打を打ちたい。1シーズンであれば3割30本打てるようなバッターに成長していきたい」。巨人の高卒出身の2000安打達成者には、石塚が「憧れの選手」と語る坂本勇人をはじめ、川上哲治、柴田勲ら球史に名を刻む選手の名前がずらりと並ぶ。偉大な道のりへの挑戦を思い描き、背筋を伸ばした。

 スター街道は1年目から始まる。同じく高卒ドラ1野手だった坂本、岡本和、浅野はルーキーイヤーにいずれもプロ初安打。右肩上がりの成長曲線を描いた。阿部監督も「高校生だから2、3年は(体づくり)とか、そんなの言ってないでいいのでね。バンバン出てきてほしい」と、すぐにでも頭角を現すことを期待する。「もちろん早く(1軍で)打ちたい。(ドラフト1位の先輩方に)近づき、追い越せるように頑張っていきたい」と、出世ロードを突き進んでいく。

 2学年上の先輩の姿に胸を熱くした。21日には東京Dを訪れ、DeNAとのCS最終S第6戦を観戦。高卒2年目ながら1軍メンバーとしてポストシーズンに参戦していた浅野に、視線を奪われた。「1、2年目から1軍やCSの舞台に立ってることが本当にすごい。そこを目指していかないといけない。早いうちから機会をいただけるように」。夢のステージへの思いは強くなった。

 早期から勝負できる資質を兼ね備える。広角に長打が打て、高校通算は26発。木製バットを使用したU18日本代表では4番を任され、結果を残した。高卒野手が苦しむ要因の一つに木製バットへの対応があるが、苦にしていない。数々の選手をプロ野球に送り出してきた花咲徳栄の岩井隆監督は「別格です。木製のほうが打てるくらい」と太鼓判。同じく高卒でプロ入りし、2年目には1軍で活躍した吉村編成本部長も賛辞を惜しまない。「(木製バットへの対応は)誰もが通る道。それを踏まえてもすごく魅力がある」と適応能力を評価し、「スター性をすごく感じる。ジャイアンツの中心選手、日本を代表する選手になってほしい」と大きな期待を寄せた。

 阿部監督直筆のメッセージ「待っています 新風」と記されたドラフト当日のくじを受け取り、「小さい頃から見てたスーパースターなので、素直にうれしかった」と笑顔を見せた18歳。「全てにおいて貢献度が高い選手になりたい。チームの顔になれるように頑張ります」。無限の可能性を秘めるドラ1の挑戦が始まる。(宮内 孝太)

石塚に聞く

 ―指名から一日過ぎて。

 「まだ実感がない。でもこうやって指名あいさつに来てもらって、ようやくジャイアンツの一員になれるっていうところで感慨深い」

 ―水野スカウト部長からはどういう話をもらったのか。

 「いずれは坂本選手のような選手になることを期待してると言っていただけたので、なれるように頑張りたい」

 ―憧れの坂本に聞いてみたいことは。

 「若い頃から活躍されていたので、大変だったことやプロに入ったばかりの時のことを聞いてみたい」

 ―反響やメッセージは。

 「数えきれないです。LINEは200件くらい。学校でもみんながおめでとう、と言ってくれた。感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張っていきたい」

 ―プロ入りまで鍛えたいことは。

 「体力は全然まだまだ足りない。しっかり土台や体を大きくすることを重点的にやっていきたい」

 ◆巨人・坂本勇人の1年目 青森・光星学院高から06年高校生ドラフト1巡目で入団。1年目の7月に1軍初昇格し7月12日の阪神戦(東京D)で初出場(代走)。9月に再昇格し、9月6日・中日戦(ナゴヤD)の延長12回、代打適時打でプロ初安打初打点をマーク。1軍では4試合出場で3打数1安打2打点。

 ◆巨人・浅野翔吾の1年目 香川・高松商から22年ドラフト1位指名で入団。1年目の7月に1軍初昇格。プロ初安打はお預けとなったが、再昇格後の8月11日のDeNA戦(東京D)でプロ初スタメンで初安打。さらに8月18日・広島戦(マツダ)でプロ初本塁打初打点を記録した。1軍では24試合出場で40打数10安打2打点、1本塁打。