Jリーグでも好ジャッジを見せたセサル・ラモス主審(写真中央)【写真:mm】

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6か国から審判員を招いた交流プログラムの意義、扇谷健司JFA審判委員長が見解

 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は、10月24日にレフェリーブリーフィングを実施した。

 今季は6か国から審判員を招いた交流プログラムについて、扇谷健司審判委員長は「来年もこれ以上になるべく多く呼ぼうと考えている」と話した。

 JFAでは審判交流プログラムとして、海外から審判員を招く取り組みをしている。今季はJ1を中心にしながらも、来日した女性審判員がWEリーグの試合を担当することもあった。イングランド・プレミアリーグでデビューしたばかりで30歳と将来が期待されているスミス・ルイス・ディーン審判員や、ワールドカップ(W杯)やコパ・アメリカ(南米選手権)の大舞台を経験しているレフェリーチームも来日し、日本の審判員と交流や研修の時間も設けた。

 現役時代に国際審判員として経験も積んだ佐藤隆治JFA審判マネジャーは「ゲームの読みやアドバンテージ、流すか止めるかの精度の高さを学ぶべきだと感じた。海外のレフェリーが来て笛を吹くことで、サポーターや映像を通して見る人がそこに価値を見出している。それを日本のレフェリーもできるようにしたい」として、東京ヴェルディと名古屋グランパスの試合や、横浜F・マリノスと柏レイソルの試合でアドバンテージでプレーを流したあとにゴールが生まれた場面を例に挙げた。

 また、交流プログラムでは日本からイングランドやカタールに派遣された審判員もいる。それに加え、佐藤マネジャーは「サウジアラビアの審判員研修のコースに若い審判が行った。違った形の研修やフィットネステストの違いも感じてきた。こうやって色々なものを、移動から含めてやってくること。現地のレフェリーのプロ意識や厳しい競争を感じること。来てもらうだけでなく出ていくことも、力をつけるためにも大切」と、招くだけの交流プログラムではない意義も話している。

 扇谷委員長は「去年よりも多く6か国から来てもらった。学ぶことは多かったし、日本のレフェリーの良い部分もある。彼らの示すピッチ上の存在感は強いものを感じる。そのようなものをどう表現するか考えないといけないし、良い学びの場。Jリーグとも色々と話しているなかで、来年もこれ以上になるべく多く呼ぼうと考えている。国や大陸連盟と交渉している最中であり、何とかもう1つ2つ、国を増やしていけたら」と、さらに規模を拡大していく意向を示した。

 それに加え「現場の審判員にも非常に大きな学びになるし、来てくれた審判にも日本サッカーや国の文化、食事にも触れて、良さを帰ってから伝えてくれている面もある。海外に行った際に、何人かのレフェリーからは、今度は僕が行きたいと言ってもらったこともある」と話し、こちらも相互関係が生まれていることのメリットを口にしていた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)