離婚の話し合いは第三者を入れることで進めやすくなる(Freedomz/stock.adobe.com)

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「おまえに対する愛情はない。でも今さら別れるつもりもない」――職場結婚し、世間体を気にする夫から放たれた言葉。夫と別れたい女性の悩みに、離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんが答えます。

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【相談】「愛情はないが別れるつもりはない」という夫に限界

27歳の私は結婚4年目、4歳年上の夫と2人暮らしです。会社員時代、職場で人間関係のトラブルがあって、そのことで親身になって相談に乗ってくれた上司が今の夫です。学校を卒業したばかりだった当時の私はあらゆることに経験値が不足していたこともあり、4歳年上だった上司の夫がとても頼もしく思えたものです。

職場には内緒で付き合い始め、半年経った頃に私は妊娠、中絶しました。22歳という若さで出産をすることに自分自身でも不安だったこともありますが、一番の理由は夫が出産に反対したからです。

「新入社員を指導する立場のオレが、部下と付き合っているだけでも評価が下がるのに、妊娠させたことがわかったら出世の見込みがなくなるに決まっている」と言われ、ショックを受けました。

中絶はしたものの、結婚や出産をあきらめ切れなかった私は「今度、妊娠したら堂々と産みたいから」と強引に頼み込んで、職場の人たちにも交際していることを発表し、翌年になんとか入籍までこぎつけました。もちろん、私は夫のことを愛していたからです。

ところが、夫は違いました。結婚してから初めて夫婦喧嘩をしたときに、「おまえに無理矢理結婚を迫られた」「こんなことになるなら手を出すんじゃなかった」など心ないことを言われたのです。

そのとき以来、夫婦なのにきちんと話し合うことも、楽しく過ごすこともできなくなってしまいました。まわりの友だちが結婚して、円満な家庭を築いているという話を聞く度に「私の結婚は失敗だったんだ」と落ち込むばかりでした。

夫への不満もピークに達し、先日ついに「このままの状態だったら、もう離婚しかないと思う」と告げました。すると、驚いたことに夫は「おまえに対する愛情はない。でも今さら別れるつもりもない」と離婚を拒んだのです。

理由はまたしても世間体でした。「部下のおまえと結婚したことは社内でも有名なのに、これで離婚したら笑い者になるだけだから」と。子どももいないことですし、私は30歳になるまでに別れたいと思っているのですが、どうやったら夫に納得してもらえるでしょうか。

【岡野さんの回答】夫婦だけで話し合えなければ、離婚カウンセラーか弁護士に依頼する

壊れてしまった夫婦関係に修復の余地がなく、「30歳までに離婚して、新しく幸せな人生を生き直そう」という決意がかたいのであれば、離婚に向けて動くという選択もアリかもしれません。

問題は、夫が納得し円満に別れることができるかどうかです。妻の言い分を真剣に受け止めようとしない夫の場合、夫婦だけで話し合いをするのは難しいことも少なくありません。

そんなときは、第三者を立てることをおすすめします。第三者を入れることで、夫に「これはあなたが考えているより、ずっと深刻な状況ですよ」ということを認識してもらうところから始める必要があるからです。

まともに話し合いができない夫婦関係において第三者を選ぶときは、ふたりの共通の知り合いは避けた方が無難です。友人や親戚に間に入ってもらっても、夫にとって甘えられる環境になっては奏功しないからです。

第三者はプロとして経験豊富な離婚カウンセラー、あるいは弁護士に依頼しましょう。その道のプロに間に入ってもらうことで、「どうしても離婚したい」という意思を相手にしっかり伝えてもらうことができるようになります。

その上で、さらに家庭裁判所に離婚調停を申し立てるのが妥当です。調停委員を交えて話し合っていくことになります。

これが、「どうしても離婚したい」という気持ちを、夫に理解して納得してもらうための最善のアプローチです。

◆岡野あつこ(おかの・あつこ) 離婚カウンセラー・夫婦問題研究家/課題解決型マッチングメディア「リコ活」アドバイザー
「離婚しないに越したことはない! 」をモットーに、4万件以上の結婚、離婚、再婚相談を受け、数多くの夫婦問題を解決に導く。カウンセラー育成にも力を注ぎ、「マリッジカウンセラー、夫婦問題カウンセラー養成講座」を開講している。

(まいどなニュース/リコ活)