【天皇賞秋/追い切り診断】実力上位の5歳馬に「B」の辛口評価 「体に違和感があるのか」物足りない調整過程に懸念

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第170回天皇賞・秋(27日/GI、東京芝2000m)には、三冠牝馬リバティアイランド、オールカマー勝ち馬で国内GI初挑戦のレーベンスティール、有馬記念を制したドウデュースなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ジャスティンパレス」を取り上げる。

■ジャスティンパレス

【中間調整】2023年は阪神大賞典勝ちをステップに天皇賞・春も勝利。同年下半期の初戦として臨んだ天皇賞・秋はイクイノックスに千切られはしたものの、メンバー最速の末脚から2着に食い込みを果たした。総合力は現役屈指。今年に入りシーマクラシックで4着、宝塚記念で10着に終わっているが、前者は環境の違いへの戸惑いとメイダンの平坦走路での切れ比べで分が悪かったようだし、後者は帰国初戦の疲れ、そして馬場状態がまったくフィットしなかったようだ。情状酌量の余地はある。
じっくり期間を取って立て直し、昨年と同じ間隔で天皇賞・秋へ臨むことに。9月28日に牧場から栗東へ戻り、10月2日にさっそく坂路4F53秒3(馬なり)とこの馬にとっての自己ベストタイとなる時計を出せているあたり、体調面は問題なさそうだ。1週前追いには坂井騎手が騎乗し、坂路でオープン馬アグリを追走。快速タイプが相手ではあったが、手応えでは大きく見劣ってしまい、なんとか併入という動きに留まっている。
【最終追い切り】最終追いも坂路に入り単走で調整された。坂の序盤、加速していく際にややバランスが乱れたが、半ばあたりからはフォームにまとまりが出てきて、手前もスムーズに変換。悪くない伸びだったと言える。ただし序盤で見せた体幹のブレは気になるところ。
【見解】1週前で手応え劣勢、最終追いは素軽さこそ出てきたが体幹にブレがあり口向きも一定しなかった。本数こそ順調にこなしているが、どこか物足りない調整過程に見える。そもそも、例えば昨年の秋天が2週前CW→1週前CW→最終坂路だったようにCWで乗り込むのが通例の馬だが、今回は2週前坂路→1週前坂路→最終坂路。CWは20日の日曜追いで14-14をこなしただけに留まっている。背腰に負荷のかかるウッドコース調整がほとんどできていないあたり、なにかしら体に違和感があるのかも。昨年ほどの走りはどうか。
総合評価「B」

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。