ヨーヨー・マ、キャサリン・ストットとの最新アルバムがリリース 日本盤にはボーナス・トラック「鳥の歌」収録

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現代最高のチェリスト=ヨーヨー・マと長年のコラボレーターであるキャサリン・ストット(ピアノ)との最新アルバム『メルシー』(Merci)が2024年10月25日(金)世界同時リリースとなった。

本作は、2024年が没百年となるフランスの作曲家ガブリエル・フォーレ(1845-1924)の作品を軸に、その師カミーユ・サン=サーンス、フォーレに学んだナディア・ブーランジェ、妹のリリ・ブーランジェと同時代に活躍したポーリーヌ・ヴィアルドの作品を収録した今年4月の最新録音。また日本盤には、パブロ・カザルスの「鳥の歌」がボーナス・トラックとして収録されている。

このアルバムではフォーレの弦楽とピアノのための作品と縁ある作曲家たちの作品をとりあげることにより、フォーレが世に与えた影響とインスピレーションの大きさを明らかにしている。作品16の「子守歌」で始まり、彼の教え子ナディア・ブーランジェ~師であったカミーユ・サン=サーンス、同時代の作曲家リリ・ブーランジェ、当時のサロンで活躍したポーリーヌ・ヴィアルドの作品とが交互に奏される。

フランス近代作品のスペシャリストとして知られ、その深い解釈と演奏に定評あるストットだが、この録音プロジェクト発案の源になった幼少期に学んだメニューイン・スクール時代のエピソードを次のように語っている。「ナディアはガブリエル・フォーレの弟子で、私が10歳のときフォーレの舟歌第4番を彼女の前で弾くという素晴らしい機会に恵まれたのです。フォーレに実際に学んだナディアが私の演奏を聴いてくれて以来フォーレの音楽が私の心から離れることはありませんでした」とコメントしている。ちなみに、フォーレが直接師事したり多大な影響を受けた事を公言するアーティストには、クインシー・ジョーンズ、アーロン・コープランド、フィリップ・グラス、レナード・バーンスタインがいる。

4年ぶりとなるデュオ・アルバムの発売を記念して、2人は来月末からレイキャヴィク(10月26日)、ロンドン(11月2日)、ストックホルム(11月3日)、ベルリン(11月5日)、ミュンヘン(11月7日)、パリ(11月9日)を含むリサイタル・ツアーを行う事を発表。公演曲目には2023年10月日本公演でも演奏したフォーレやナディア・ブーランジェの作品に加えドヴォルザーク、セルジオ・アサド、ショスタコーヴィチ、アルヴォ・ペルト、フランクなどが含まれる。

ヨーヨー・マとストットは1985年からレコーディングで共演を始めた。その中には時代を牽引し、グラミー賞最優秀クラシック・クロスオーバー・アルバム部門を受賞した大ヒット作『ヨーヨー・マ プレイズ・ピアソラ』や『オブリガード・ブラジル』も含まれる。近年では、2020年『ソングス・オブ・コンフォート・アンド・ホープ』(パンデミックが始まったばかりの2020年3月ヨーヨー・マは#SongsofComfortとして自宅から演奏映像を世界に発信を続けた企画から生まれたアルバム)、2015年『ソングス・オブ・アーク・オブ・ライフ』を発表している。2023年10月には2人で来日し、名古屋・京都・所沢・東京・福岡でデュオ公演を行った。ストットは今年いっぱいで演奏活動からの引退を表明しており、この『メルシー』は2人の40年に及ぶコラボレーションの特別な楽章をしめくくる作品としてリリースされる。またブックレットには2人の心温まるエッセーが掲載されている。