浦和の希望「本当に助かる」 存在感絶大、助っ人MFが「チームが勝つため」の高レベルな安定感
グスタフソンがチーム内の攻守でプレーメーカーとして活躍
浦和レッズは10月23日にJ1リーグ第25節の延期日程となっていた柏レイソル戦に臨み、1-0で勝利した。
危機的状況で迎えたゲームは、スタメン復帰したスウェーデン代表MFサミュエル・グスタフソンがハイレベルなプレーを見せてチームに落ち着きを与えた。
このゲームは8月7日の開催が予定されていたが、雷雨により中止になっていた。そこから浦和はペア・マティアス・ヘグモ監督からマチェイ・スコルジャ監督への交代を挟んだが、前の東京ヴェルディ戦(1-2)に敗れて4連敗と苦しんだ。この試合は、ともに勝ち点39で降格圏の直上で暫定16位と同17位に位置する重要度の高いゲームになった。
そのヘグモ前監督の“右腕”としても期待された今季の新戦力がグスタフソンだった。前所属スウェーデン1部ヘッケンでタッグを組んでいたこともあり、そのサッカーを知るプレーメーカーとして来日。プレシーズンから確かな技術を見せていたが、開幕後は相手のラフプレーによる負傷でリズムを崩し、6月の代表活動でも負傷。復帰後も不運な形で頭部への接触プレーで離脱を余儀なくされるなど、なかなかフル稼働ができず。スコルジャ監督への交代後は守備を重視するなかで起用時間が限られ、さらに膝の状態に問題もあり再びゲームから離れていた。
しかし、10月の代表活動期間中にコンディションを整えて復帰すると、19日の東京V戦(1-2)ではラスト10分の出場だったが明らかにゲームの表情を変えた。そして、この日に満を持してスタメン出場すると最終ラインを出入りしながらボールを循環させ、自分が相手を引き付けながら味方にボールを渡すなどチーム全体が前進していくプレーを実現。強いパスを当てるだけでなく、受けた選手がターンしやすいようなコントロールをしたボールも織り交ぜて浦和のマイボールは明らかに安定した。
スコルジャ監督は試合後に「本日はサミュエルがチームのストロングポイントになっていたと思う。ゾーン2で、非常に効果的なビルドアップを行うことができた」と話した。また、センターバックの2人も「彼にボールを持たせてビルドアップをした。勝つために非常に助けてくれた(マリウス・ホイブラーテン)」、「相手が僕に食いつけば大久保(智明)のスペースが空くので、そこを見逃さずプレーしてくれた。そういったところは彼のストロングポイント。本当に助かる存在(井上黎生人)」と話すなど、その存在感は絶大だった。
前半の半ばまでは特に、浦和が攻撃を機能させる場面が多かった。その後は柏の対応や敵陣での質に問題が顕在化した面もあっただけに、グスタフソンも「最初の30分が一番形が良かったという感覚がある」と話した。だが、むしろ本質は「サッカーというものはチームスポーツなので、自分のアクションは全てチームが勝つためのプレーだ」と話したこと。後半にロングボールが多くなると、最終ラインを前後するよりもセカンドボールを拾うためにポジションを上げた。それは自分が良さを出せるプレーよりも、チームに必要なプレーを優先する姿勢からのものだ。
東京V戦でのラスト10分でもそうだったように、あらためて1人でこれだけチームを変えられる選手は希少なもの。残留争いに本格参戦かというタイミングで戻ってきたプレーメーカーの存在は、浦和の終盤戦に大きな希望を与えた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)